パレルモと残留圏の勝ち点差は「11」も開いた。

　メッシーナは'08年に解散した後、地元有志による後継クラブが設立された。セミプロ・リーグから再出発し、'15年の夏に新たな出資者を迎え入れた現在は3部レーガ・プロの海を漕いでいる。

　カターニャにはかつての名フロント、ロモナコCEOが復帰した。セリエA時代に建設され、南イタリア随一とされるクラブのトレーニング・センターを基礎に、島の若手タレントを育てていく。

　セリエAに残った牙城パレルモは、21節を終えて19位の苦境にある。17位エンポリとの勝ち点差はすでに11も開いており、識者の間では「パレルモとクロトーネ、ペスカーラはすでにBへ降格したも同じ」と悲観的な声も聞かれ始めた。

　ザンパリーニ会長は直近の3連敗で、バッラルディーニ元監督を呼び戻すことも考えたようだが、現指揮官コリーニに対する選手たちの支持は強い。

「（残留を）信じ続けることが大事だ。前を向いて練習に励むしかない」

　今季期待されながら未だノーゴールのFWバログは、シチリアの抱える闇と矛盾を知ってか知らずか、まだ希望を捨てていない。

今季4人目の指揮官のもとで残留を果たせるのか。

　かつてシチリア島では小笠原以外にも、柳沢敦（現・鹿島コーチ）と森本貴幸（現・川崎）という二人の日本人ストライカーがプレーした。

　セリエAに新たな日本人ストライカーが出現する日が先か、シチリアの復権が先か。

　島の陽光は、現実味を伴わないほどいつも眩しい。

追記：そして原稿締切後の24日、コリーニ監督はクラブへの不信感を表明して辞任。パレルモは今季4人目の指揮官とともにセリエA残留を目指す。