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酉年に飛翔する“イタリアの雄鶏”。
国民的支持を受けるFWベロッティ。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2017/01/11 11:00

酉年に飛翔する“イタリアの雄鶏”。国民的支持を受けるFWベロッティ。<Number Web> photograph by AFLO

セリエAを騒然とさせているベロッティのとさかポーズ。空席だった“アズーリの本格派ストライカー”の座もほぼ手中に収めた。

セリエ得点王を争い、代表FWにも定着。

 惜敗した16節のトリノ・ダービーでも、王者ユベントス相手に先制点を奪う勝負強さを発揮。18節終了時点で13得点を上げ、得点ランク首位のFWイカルディ(インテル)を1ゴール差で追う。

 昨年夏から新体制が発足したイタリア代表では、9月の初戦フランス戦でデビューを果たすと、初先発したロシアW杯予選マケドニア戦で初ゴールを挙げた。

 以降、W杯予選デビューから出場3試合で3得点を上げるアズーリ史上初の偉業を達成しながら、ベロッティは闘鶏のような勢いで瞬く間に代表チームの主力へのし上がった。

 昨季までトリノを率いていたベントゥーラが就任した時点で、新体制のアズーリにFWインモービレ(現ラツィオ)らトリノ時代の教え子たちが重用されるであろうことや、ある程度の世代交代は予見されていたが、新戦力ベロッティの成長ぶりは大方の予想をはるかに超えていた。

引き合いに出される選手も技巧派から重戦車まで様々。

 よく引き合いに出されるのは、'90年代に技巧派として活躍したヴィアッリや前線で体を張ったカジラギだ。代表でのカジラギといえば、'98年フランスW杯予選プレーオフでロシア相手に決めた決勝ゴールが印象深い。

 一方でオールドファンの目には、ベロッティに'70年代の名手ボニンセーニャが重なって映るらしい。

 '70年メキシコW杯で準優勝した当の本家は、台頭著しいベロッティを「エリア内でキビキビしている。相手守備陣のわずかなミスも逃さぬよう、つねに集中している姿勢もいい」と評し、目を細める。

 ベロッティ本人を間近で見ると、その胸板と背筋の異常な厚みに驚かされる。ゴール前に迫る彼のパワフルな突進は、体躯が一回りちがうものの、敵陣を蹂躙した“重戦車”ヴィエリを思い出さずにはいられない。

【次ページ】 本人の憧れは「誰が何と言おうと、シェフチェンコ」。

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アンドレア・ベロッティ
トリノ

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