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羽生結弦不在の全日本の舞台裏。
宇野昌磨、無良崇人らは何と戦った? 

text by

石井宏美

石井宏美Hiromi Ishii

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photograph byAsami Enomoto

posted2017/01/10 11:30

羽生結弦不在の全日本の舞台裏。宇野昌磨、無良崇人らは何と戦った?<Number Web> photograph by Asami Enomoto

今年3~4月にフィンランドのヘルシンキで開催される世界選手権の代表をほぼ手中にした宇野。20歳となる2017年に、さらなる飛躍を誓う。

「五輪シーズンを前に、世界で戦えるように……」

 緊張感をもって臨んだ田中のショートプログラムでは、冒頭の4回転サルコウで右足だけでは耐えられずに左足を踏み出してしまった。フリーは「ミスが多くて悔しい」と猛反省している。

「今回は表彰台を目指すような演技をしなければならないと周りの方々からも言われ、自分自身もそう思っていたのですが緊張感はあった。五輪シーズンを前に、これからもっと世界で戦えるよう自分の武器を磨き、さらに成長していかなければ」と笑顔はなかった。

散々考えた末に「とりあえず楽しもう」と。

 羽生不在の中、優勝候補本命に挙げられた宇野。

 「周囲からは言われたけれど、自分では重圧は感じていなかった」と話してはいたが、ショートプログラムではいつもより表情が固く見えた。

 冒頭の4回転フリップ-3回転トーループは4回転の着氷が乱れて単発に。もともと単発予定だった次の4回転に3回転をつけて連続ジャンプに切り替えようとしたが転倒。演技後、「フリップを引きずってしまった」と悔しさをかみしめた。

 結果は88.05点で2位。

「明日は同じミスをしないように」とフリーに臨んだが、朝の公式練習ではショートプログラムでのミスを引きずっていた。気持ちを切り替えられず、それが氷上でも表れてしまう。思い通りのジャンプが跳べないのだ。

「悔しいという気持ちとつらいという思いが強すぎて疲れて、どうでもよくなった。泣いたり、落ち込んだり……」

 散々考えた挙句、「とりあえず楽しもう」という決断に至った。

「やはり試合になると、跳びたいという気持ちも強く出てきて、困惑しながらも滑り切ったという感じです」

【次ページ】 羽生不在のプレッシャーが宇野に与えた独特の影響。

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