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「神ってる」被弾で慢心が消えた。
オリ守護神・平野佳寿の復活劇。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2016/12/29 07:00

「神ってる」被弾で慢心が消えた。オリ守護神・平野佳寿の復活劇。<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

開幕当初はセットアッパーだった平野は、最終的に4年連続2けたセーブをマーク。通算セーブ数を127にまで伸ばした。

「神ってる」鈴木にサヨナラ弾を浴びた平野。

 その初戦、オリックスは2点リードの9回裏に平野が2点を失って追いつかれ、12回裏、比嘉が広島の鈴木誠也に本塁打を打たれてサヨナラ負け。そして翌日の18日、今度は平野が、9回裏、鈴木にサヨナラ3ランを打たれた。この日の試合後のインタビューで、広島の緒方孝市監督は鈴木をたたえ、「神ってる」という言葉を発した。

 このあと広島は勢いを増し、25年ぶりのリーグ優勝へと突き進み、「神ってる」は今年の流行語大賞に選ばれることになる。この言葉と広島の優勝を振り返る映像には、必ずと言っていいほどこの劇的なシーンが映し出される。比嘉や平野の後ろ姿とともに。

決め球フォークの精度が落ちていることを認識。

 この時、鈴木に打たれたのがフォークだった。守護神・平野の決め球である。しかしその精度が落ちていると痛感させられた。

「もう、ど真ん中でしたね。すごく甘いボールでした。全然バットに当たるところだった。そのちょっと前から感じてはいたんですけど、『やっぱりフォーク落ちてないなー』と改めてわからされるようなホームランだった。

 それまで自信を持って投げていたフォークが、そうやって打たれたので、交流戦後に少し期間が空いた時に、ブルペンで投げて、しっかり落ちるように修正した。それまでは抑えられていたのでちょっと慢心していたところもあったかもしれないけど、それをしっかり見つめ直す機会になったと思います」

 後半戦は、精度の上がったフォークが冴えた。終わってみれば、今年は58試合に登板し、31セーブ、防御率1.92。一昨年をしのぐ安定感を見せた。海田智行、吉田一将、平野という新たな勝利の方程式も整った。

【次ページ】 もっとも優勝から遠ざかっているチームの汚名返上を。

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