プロ野球PRESSBACK NUMBER

ラミレス監督が明かす激戦の裏側。
DeNA初のCS、濃密な7試合の先に。 

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2016/12/28 07:00

ラミレス監督が明かす激戦の裏側。DeNA初のCS、濃密な7試合の先に。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

最後の最後まで白熱した戦いを見せた巨人とのCSファーストステージ。続く広島戦も含めてラミレス監督とチームが得た経験は財産となる。

阿部の大飛球の裏にあった、あるコーチの英断とは?

――リリーフ陣が粘りを見せ、延長11回、嶺井博希捕手のタイムリーが飛び出しました。予感はありましたか?

「打撃練習の時から常に強振して、よく打てている。この場面でも、何事にも動じないベテランのようなたたずまいで打席に立ち、打つ準備ができていた」

――嶺井捕手は、8回に戸柱(恭孝)捕手の代打として途中出場していました。ベイスターズ捕手陣のなかで最も打撃がいいのが嶺井捕手という認識ですか。

「比べるまでもなく嶺井だ。逆方向に打てる、ホームランも打てる、バントもできる。バットを持てば本当にいろんなことができる選手だ」

――1点リードで迎えた11回裏2アウト、走者一、二塁の場面で、阿部慎之助選手が打ったライトへの大飛球にはドキッとしたのでは?

「あの直前、上田(佳範)外野守備走塁コーチがぼくのところへ来て、『ここで外野を越えられたら2点取られて負けてしまう。2点目を防ぐ守備隊形にしましょう』と助言してくれた。あそこで外野を後ろに下げさせていなければ、あの大飛球は外野の頭を越えていたかもしれなかった。上田コーチの英断だったと思う」

カープ戦、とにかく先制することがキーだった。

――激戦を制して、次はカープとのファイナルステージです。レギュラーシーズンでは19.5ゲーム差をつけられた相手に、どんな戦略を描いていましたか。

「簡単な試合になるとは決して思っていなかった。カープの先発陣を分析すると、マツダスタジアムではジョンソンが8勝2敗で防御率1点台、野村(祐輔)が8勝1敗、黒田(博樹)が8勝4敗と非常にいい成績を残していた。ただ、うちの選手たちはマツダスタジアムでおそらくどのチームよりも打てていたから、とにかく先制することがキーになるだろうと考えていた。

 こちらの先発はモスコーソ、三嶋(一輝)、井納を準備していたが、カープ打線を相手に3~5点は失うことは覚悟していた。スモールベースボールをするという選択肢はなかった。積極的な野球をしようと思い、選手たちには『楽しんでこい』とだけ声をかけた」

【次ページ】 スタジアムとの相性を考えてのオーダー変更。

BACK 1 2 3 4 5 6 7 NEXT
横浜DeNAベイスターズ
アレックス・ラミレス
三浦大輔
梶谷隆幸
今永昇太

プロ野球の前後の記事

ページトップ