確実に言えるのは、世代交代ができていないこと。

　名前の知られた、ポテンシャルの高い選手が多く、確かに彼らがかつての力を出し切ればチーム力はリーグ有数である。ただ現実には、多くの選手がプレーヤーとしての峠を過ぎたり、故障に悩まされていたりでシーズンを通じて額面通りの働きを見せることができなくなっている。

　確実に言えるのはチームとして世代交代の時期がきているのに、それがスムースにできていないということだ。

　言葉を変えれば、次の主力となる選手が育たず、今の巨人には期待を膨らませるような若い戦力がないというのが'16年シーズンの敗北が突きつけた現実なのである。

高橋監督の第1のミッションは「優勝すること」。

　優勝した広島が黒田博樹と新井貴浩の両ベテランを柱にしながら、しっかりと中堅、若手を育て、投打に充実した戦力でシーズンを戦いきったことを思えば、何と戦力の乏しかったことか。

　そういう意味ではその広島に17.5ゲーム差という大差をつけられての敗北は、当然といえば当然の帰結だったのである。

　ただ巨人の難しさは、'17年のシーズンに高橋由伸監督へ課される第1の使命が「チームの世代交代」かといえば、そうではないというところにある。

　あくまで優勝すること、勝つことが第1のミッションになるのだ。

　だからこのオフ、フロントは補強に動いた。

　確かに「なりふり構わぬ」という言葉が当てはまる大補強だった。総額30億円といわれる大金を投じた補強には、例によって現象だけを見た批判も渦巻いている。

　ただ、冷静に戦力分析してチームの実情を考えると、この補強は今の巨人に欠けているピースを埋めるものとして評価はできるものだった。

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