イチ流に触れてBACK NUMBER
「走る事は速くなってしまっている」
イチローの打撃が諦めと無縁な理由。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byNaoya Sanuki
posted2016/12/27 11:30
年齢ではまったく計ることができないイチローの能力。お世辞ではなく、実際に年齢と共に数値が伸びている驚異のアスリートである。
イチローにも、普通の人間と変わらない部分もある。
これまで10年連続200安打など幾つもの金字塔を打ち立ててきたイチローにはプレッシャーなど無縁のものと想像しがちだが、彼にも普通の人間と変わらない部分はある。
孤高の天才、完璧主義もプロとして格好良いが、感情移入できる隙間を持ち合わせていることに親近感を覚えた瞬間だった。
2017年はイチローにとって、メジャー17年目、プロ生活26年目、43歳のシーズンとなる。既に10月中旬にマイアミでスタートさせた今季への備えは、11月には日本へその場所を移し、彼が体を動かさない日はない。
トレーニングメニューは毎年変わってくると言うが、経験を積むごとに生まれてくる変化もあると言う。
「だんだん、ハードな練習になっているのは間違いないですね。トレーニングのレベルを落とすということが性格的にできないんでね(笑)。どんどん厳しくなっています」
「技術は毎年変える」と言い切るイチロー。
イチローは今までに、自身の衰えを感じたことは一度もないと言う。その言葉に嘘がないことはこんなコメントにも表れている。
「技術は毎年、特に打つことに関しては変えることはあって、それがうまくいくこともあるし、そうじゃないこともある。
すごく繊細な技術ですから、打撃というのは。ただ、走ることとか投げること、っていうのはわかりやすく計ることができますよね」