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武豊がオススメする騎手、
戸崎圭太が語る「本当に強い馬」。 

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/12/19 17:00

武豊がオススメする騎手、戸崎圭太が語る「本当に強い馬」。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今季は、1日6勝の記録も達成しており、勝率・複勝率も高い……3年連続リーディングにも挑む戸崎。

ムーアのレースは「なるべくしてなった」という感じ。

「ライアンは、馬をコントロールしちゃっているんです。どんなレースでも組み立てられるし、牛耳っちゃってる。

 僕の場合、レースで勝つと『このへんがうまくいったから、良かった』と考えますけど、ライアンの場合は自分で組み立てて、『なるべくしてなった』という感じ。すごく研究もしていますからね」

 とはいえ、'14年の有馬記念は筋書き通りのレースだったのではないか。

 スムーズなスタート、的確な位置取り、直線での伸び。名手の導きがあったからこそ、このレースで引退が決まっていたジェンティルドンナに、有終の美を飾らせることができたように思えた。しかし、謙虚な戸崎に言わせれば、これも「ジェンティルのおかげ」なのである。

「ジェンティルは、どこに行っても、どんな展開でも、競馬ができる。だから、ジェンティルに乗るときに気をつけることは、ないんです。ないからこそ強い。どんな狭いところでも割って入れるし、折り合いも心配ない。調教で乗った時は『凄い馬』という印象を受けることはなかったけど、レースになると気持ちの強い、良い馬であることがよくわかりました。牝馬なのに、'12年のジャパンカップではオルフェーヴルとぶつかり合いながら、負かしちゃうんですから。やる気になっちゃうんでしょうね」

本当に強い馬は「どっしりしてて」「物覚えも早い」。

 では、戸崎が考える「気持ちの強い馬」の特徴とは?

「こればっかりは、レースで馬に跨っているからこそ、感じられる部分が多いと思うんですけど。

 例えば、すごくフットワークが良くて能力の高い馬でも、性格が弱いと勝てなかったり、力を出し切れなかったりするんです。逆にジェンティルのように、フットワークはいまひとつでも、根性があったり、レースでの強さがあると勝てちゃう。

 そしてレースでよく走る馬は、どっしりしているというか、余計なことをしない。そういう馬は、厩舎のスタッフや調教師の先生、騎手から教えられることを覚えるのも早いんです」

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