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ケンブリッジ飛鳥、プロ化の背景は。
五輪メダリストが揃う超大手と契約。 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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photograph byAFLO

posted2016/12/17 11:30

ケンブリッジ飛鳥、プロ化の背景は。五輪メダリストが揃う超大手と契約。<Number Web> photograph by AFLO

リオ五輪の4×100mリレーでボルトの隣を走るケンブリッジ飛鳥の姿は記憶に新しい。次は何を見せてくれるのだろうか。

代理人はレーンの交渉にまで影響力がある!?

 海外で活動するにあたり、代理人は非常に重要な役割を担う。スポンサー契約の交渉に加えて、レース主催者と出場権や出場料、短距離に関してはレーン割の交渉、遠征先での練習場所の手配、コーチの紹介など競技に関するあらゆるサポートをする。

 また陸上のトップリーグ『ダイヤモンドリーグ』に出場するためには、本人の成績に加えて、代理人の力がとても重要になる。

「リオの100m準決勝では、経験不足を露呈してしまいました。(隣のレーンだったジャスティン・ガトリンのような)9秒8台の選手と走るのが初めてだったので、気づかないうちに力が入ったのかなと思います。今後は海外の強い選手と走ることで、経験を積んでいきたい。ダイヤモンドリーグなどにも挑戦したいと思っています」

 ケンブリッジ本人も、そう新環境への期待感を口にする。

日本ではほとんどの選手が実業団に所属。

 日本の陸上選手は実業団チームに所属するケースがほとんどで、プロ選手として活動した例としては過去に有森裕子、高橋尚子、室伏広治、為末大など、現役選手では長距離選手の大迫傑がナイキと契約しているが、人数はとても少ない。

 企業が支援する実業団選手は、毎月の給料に加え、寮や食事、遠征費など手厚い支援が受けられるほか、企業によっては引退後にそのまま働くこともできる場合もある。そういった好待遇を捨ててまで、あえてプロになる必要性がないのだろう。

 ケンブリッジは4月にドームに入社し、週に数日の勤務をしながら選手活動を行ってきた。

「研修なども受けて、短い期間でしたが会社勤めをしたのはとてもいい経験になりました。今後の人生にプラスになると思っています。本当に感謝しています」と感謝を口にしつつ、「大学生の時から、いつかプロ選手としてやっていきたいと思っていました。世界のトップ選手は皆プロですよね。自分の体一つで戦っていると思うんです。そういう意識の部分で差が出るのかなと思うんです」と、プロ宣言が突然の決断ではなく、長年の目標だったことを明かした。

【次ページ】 ボルト引退後の群雄割拠に、名乗りをあげられるか。

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