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一塁到達タイム、球速、勝利数……。
大学野球終盤戦を数字で大分析。 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/11/27 08:00

一塁到達タイム、球速、勝利数……。大学野球終盤戦を数字で大分析。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

明治大が優勝した明治神宮大会。ただ漫然と試合を見るのではなく数字をチェックしてみると、チームの規律や選手層が見えてくる。

横浜市長杯争奪ではほぼ全校が“走り合い”だった。

 及第点の1試合3人に満たなかったのは国際武道大の1人・計1回だけで、あとはすべて及第点をクリア。とくに白鴎大、横浜商科大、東海大、桜美林大(2試合とも)、中央学院大、上武大、共栄大の7校は5回以上のタイムクリアを実践している。こういうハイレベルな走塁は東京六大学や東都のリーグ戦でも見たことがない。

 ちなみに、国際武道大が1人1回と少なかったのには理由がある。対戦した東海大の青島凌也(2年)に完全試合(パーフェクトゲーム)を許し、18三振を喫してしまったのだ。ストップウォッチで計測できたのは内野ゴロの5つだけ。そのうちの2つは4.3秒台なので記録阻止に全力で走塁していたことは間違いない。

 この横浜市長杯争奪で決勝に残った2校が明治神宮大会に出場できるのだが、レベルの高い熾烈な走り合いを見て、東京六大学リーグ、東都大学リーグの優勝校も交えて戦わせ、準決勝に残った4校を明治神宮大会に出場させてはどうかと思った(他リーグを交えた決定戦を経ずに明治神宮大会に出場できるのは東京六大学と東都のリーグ戦優勝校だけ)。

 日本の大学野球を牽引したのは間違いなく東京六大学と東都の2リーグだが、現在の地方リーグの頑張りや強さを見れば、すべてのリーグ優勝校を代表決定戦に出場させ、公平に争わせるべきではないか。そういうことを考えさせられるほど、横浜市長杯争奪の“走り合い”は見事だった。

明治神宮大会で目立ったのは“リーグ間格差”。

 11月11日から始まった明治神宮大会・大学の部では、タイムに学校間の格差、つまりリーグ間の格差が目立った。同じように各塁到達のタイムクリアをくらべてみよう。

<11月11日>
上武大1-0富士大(上武大1人1回、富士大0人)

<11月12日>
東海大北海道キャンパス3-2日本文理大(日本文理大3人3回、東海大北海道キャンパス1人1回)

<11月13日>
明治大4-1関西大(明治大5人5回、関西大5人5回)
上武大2-1名城大(上武大2人4回、名城大2人4回)

<11月14日>
日本大7-0東海大北海道キャンパス(日本大4人7回、東海大北海道キャンパス1人2回)
桜美林大7-1環太平洋大(桜美林大5人7回、環太平洋大3人4回)

<11月15日>
明治大3-0上武大(上武大3人3回、明治大2人2回)
桜美林大7-4日本大(日本大5人8回、桜美林大3人5回)

<11月16日>
明治大5-2桜美林大(明治大4人5回、桜美林大4人5回)

【次ページ】 明大はよく走るだけでなく、柳と星の二枚看板がいた。

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