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王会長が認めた剛腕・山田大樹。
SB在籍10年目、崖っ縁の一手。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/11/24 07:00

王会長が認めた剛腕・山田大樹。SB在籍10年目、崖っ縁の一手。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

今季の登板で山田は腕が下がり気味のフォームで投げていた。王会長が評価した剛腕は、オーバースローでこそ輝く。

もはや崖っぷち。「中継ぎだって僕はかまわない」

 しかし、近年は表舞台に上がる回数が減っていた。今年6月7日のベイスターズ戦で753日ぶりの一軍登板を果たし、7回4安打1失点の好投で1100日ぶりの勝利を手にしたが、翌週の先発では3回で降板した。シーズン終盤の9月にも先発チャンスが巡ってきたが、2回持たずにKOされてしまった。

 もはや崖っぷちなのである。

「ずっと先発でやってきた。こだわりたい気持ちもあるが、とにかく一軍で投げることが一番大事。使ってもらえるのならば、それが中継ぎだって僕はかまわない」

 強い球を投げる。

 起用法の可能性を広げるためには絶対に必要なこと。また、工藤公康監督から求められた事でもあった。

 佐藤コーチは「あの体格があるわけだし、元々出来たわけだから十分期待できる。ただ、中継ぎに関しては適性もあるからな。起用法についてはまだ分からない」と話すが、否定もしなかった。

3年目までの若手に囲まれ、身体を追い込みきる。

 決意の秋。

 今回のキャンプはベテラン陣が基本免除され、若手中心で行われた。技術よりも体力と筋力アップがテーマ。相当ハードな走り込みが日々課せられた。そのメニューを当たり前に行いつつ、山田は毎日早出組に名前を連ねていた。通常の9時半スタートよりも早い、午前8時40分から練習が始まる。周りは入団3年目までの若手ばかりだ。

「僕はやるメニューが多かったから。逆にありがたかったですよ」

 12月には結婚式を挙げる。来季への思いはより一層強くなるばかりだ。どのような起用法になるにせよ、来季11年目の山田には注目したい。

「気づかれないのは期待されているか、されていないかの差。やりますよ。見返してやらんと」

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