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アメリカズカップは興行的に大成功。
大歓声の中心には、早福和彦がいた。

posted2016/11/24 11:00

 
アメリカズカップは興行的に大成功。大歓声の中心には、早福和彦がいた。<Number Web> photograph by Getty Images

早福和彦(手前)は50歳。日本ヨット界のレジェンドとも言うべき存在で、チームジャパンでも精神的な支柱だ。

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中村計

中村計Kei Nakamura

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Getty Images

 日本ヨット界の歴史が動いた。

 11月19日、20日と、最高峰のレースで、アジア初開催となる「ルイ・ヴィトン・アメリカズカップ・ワールドシリーズ」が開催された。歴史的瞬間を一目見ようと、ソフトバンクホークスのホーム球場・ヤフオクドームの目の前の地行浜(じぎょうはま)に、初日は6000人以上、2日目は8000人近い人が集まった。チケット代は初日が4000円、2日目は5000円だった。

 1993年、アメリカズカップに初めて挑戦した「ニッポンチャレンジ」の元クルーの1人は驚きを隠さない。

「私も観に行ったのですが、衝撃的でした。開門前から人が並んでいましたからね。僕らの時代は、ヨットは観客ゼロのスポーツだって教わってきましたから。それがお金を払って、こんなに来るんですもん。『空飛ぶヨット』と『アジア初開催』という謳い文句が奏功したんでしょうね。興行的には大成功ですよ」

遠くの海を眺める状態から、陸の近くで疾走するように。

 現在のアメリカズカップのレース艇は、水中翼の働きで宙に浮きながら走る。それによって時速は60km近くにも達する。

 オールドファンの中には「あんなのはヨットではない」、「歴史的なレースが単なる客寄せイベントに堕した」と苦言を呈する者も少なくない。しかし、かつてのアメリカズカップと言えば、遠くの海で動いているか動いていないのかわからないヨットを眺めるものだった。しかし、今は陸のすぐ近くで、ヨットが長い引き波を描きながら疾走している。観戦者にとっては、格段にわかりやすくなった。

 そしてもう1つ、今大会の集客に一役かった要因がある。それは15年振りの参戦となった日本のヨットチーム「ソフトバンク・チーム・ジャパン」のメンバーで、全6チームの中で最年長の50歳の早福和彦の存在である。彼こそが日本チーム、ひいては日本開催の象徴だった。

【次ページ】 「彼には続ける才能があったということ」

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