指揮官はストーンズを信頼する勇気を持ち続けるべき。

　現在のイングランド代表は、“アイデンティティのなさ”がアイデンティティとなりつつある。FAが求めるイングランド像を生み出すには相当な進歩を重ねなければならない。

　その意味でも、新体制下での進化を体現する存在として、貴重なボール捌きに自信を持つCBジョン・ストーンズの今後が注目される。後方から攻撃を組み立てるチームを目指すのであれば、ストーンズ中心に構成する必要があるだろう。

　ただストーンズが自陣内で数度ボールを失ったスコットランド戦後には、安全第一のクリアが出来ないという批判が国内で高まった。「繋いで攻める技術はあるが、勇敢であることと無謀であることは違う。その違いを理解させなければ」という指揮官の自軍評は、ストーンズへの苦言として報じられた。

　ただしサウスゲートは、やはり後方からの組み立てを重視したU-21代表でも、ストーンズの「足下」を買っていた監督だ。プレッシャー下でも怯まずボールを要求し、チャンスと見れば自ら持って上がる姿勢を「頼もしい」とも言っていた。

　今夏にエバートンからマンチェスター・シティに移籍したストーンズは、新監督ペップ・グアルディオラの下、リスクテイクを伴う攻撃への関与を磨かれると同時に、リスク回避のバランス感覚をも植え付けられつつある。であればなおさら、指揮官はストーンズを信頼する勇気を持ち続けるべきだ。

サウスゲートは“使って育てる”意向を示している。

　幸い、サウスゲートは“使って育てる”意向を示している。スコットランド戦後には「まだ22歳。CBとしては駆け出しに過ぎない年齢だ。その点を忘れてもらっては困る」とストーンズへの非難を切り返すと、11月15日のスペイン戦（2－2）でもフルタイム起用に踏み切った。

　ハーフタイムにセンターバックの相棒がギャリー・ケイヒルからフィル・ジャギエルカに代わっても、ストーンズはピッチに立ちつづけた。

　もっとも、再び非難を浴びそうな場面がなかったわけではない。37分には受ける用意の出来ていなかったエリック・ダイアーにパスをつけてしまった。相手選手2人に挟まれてボールを奪われたボランチが、抗議するのも無理はない。だが、これがストーンズの唯一のミスだった。

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