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東海大学の「黄金世代」がまた1人。
1年生で全日本区間賞、館沢亨次。 

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posted2016/11/11 11:00

東海大学の「黄金世代」がまた1人。1年生で全日本区間賞、館沢亨次。<Number Web> photograph by Shunsuke Mizukami

青山学院の次の覇権を確実視されている東海大学。黄金世代が、着実に頭角を現しつつある。

駅伝は「層の厚さ」こそが物を言う世界。

 だが、チームを率いる両角速監督自身が、「箱根は距離が延びる分、1年生はまだまだこれからでしょう。区間も増えるのでチームの層の厚さも必要になってくる」

 と語るように、どんなに強力なルーキーが加入したとしても1人で駅伝には勝てない。大学駅伝には「層の厚さ」が不可欠なのだ。その意味で、今回の館沢の区間賞はチームにとっても非常に大きな意味を持つ。

 駅伝の名門・埼玉栄高校出身の館沢だが、全国大会での区間賞の経験はない。高校3年時の高校総体でも5000mで予選落ちに終わっており、他の新入生と比べても、突出した実績があったわけではない。

「これまでもスーパールーキーとして取り上げてもらうことはありましたが、関と鬼塚がメインで自分はオマケ要素が強かった。取り上げてもらえて嬉しい反面、2人との間に壁がある悔しさはすごくありました」

「突っ込んで、最後に粘る」という攻めの走り。

 そんな選手が、大学入学後の初の駅伝シーズンで区間賞を獲得できたことで、一気にチームの柱へと成長する可能性がでてきたのだ。その自覚は本人の心の中にも当然、ある。

「入学当初は練習についていくことすら出来なくて。しかも同じ1年生なのに、それを普通にこなせている選手もいて、『力が無いなぁ』というのを痛感していました。

 でも、自分は『攻めの走り』ができるのが強み。『あとのことを考えて、序盤はゆっくり』ではなくて『ガンガン突っ込んで、最後に粘るだけ粘る』。こういう走りを練習からしていれば、他の強い同級生や他校のエースとも戦えるのかな、と思ってやってきました。そうやって練習ができるようになってきて、力がついてきたのかな、というのはあります」

 休日には映画を観に行ったり、一緒に遊んだりと、ルーキーたちの仲は良いという。だが、それだけではないライバル意識や対抗意識があるからこそ、もともと高い実力を持った選手たちに、更なる進化をもたらす原動力が生まれているのだろう。

【次ページ】 成績を出さないと、寮の1人部屋が没収に。

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