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田中正義獲得でドラフトは満点か?
ソフトバンクに潜む“中継ぎ問題”。 

text by

田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/10/26 17:00

田中正義獲得でドラフトは満点か?ソフトバンクに潜む“中継ぎ問題”。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

セットアッパーの森は3年連続50試合以上登板、防御率も2点台をキープした。ただ“勤続疲労”を考えれば、新たな人材を確保する時期だったかもしれない。

守護神は来季もサファテで決まりだが、問題はその前。

 守護神は来季もサファテで決まりだ。

 肝心の中継ぎ陣。新加入だったスアレスを除けば、左腕の森福以外は軒並み成績をダウンさせた。その森福は今季中に取得した国内FA権行使を示唆している。来季の戦力としては不透明だ。

 工藤公康監督の最大の誤算は、実はバリオスの不振だった。昨季はプロ野球タイ記録の17試合連続ホールドをマークした右腕。後半戦は疲れもあって失速したが、指揮官はその経験も踏まえたうえで今季は年間を通してリリーフ陣の軸として活躍することを大いに期待していた。しかし、今季も故障に泣き、さらに投球時にインステップする悪癖が再発し、修正できなかった。10月24日に球団から来季契約しない旨が発表され、ウエーバー公示された。

 その中でスアレスが台頭した。2年前まで母国ベネズエラで建築現場の作業員として生計を立ててアマチュアの草野球でプレーしていた右腕だ。球団は高い将来性を期待しての獲得だったが、結果的には嬉しい誤算となった。クライマックスシリーズ・ファイナルステージでは自己最速の161キロをマーク。仮に守護神のサファテにアクシデントがあった場合は、その穴を埋める一番手となるだろう。しかし、そうなれば中継ぎ陣はますます手薄になる。

森の不調によって先発の岩嵜と東浜を配置転換した。

 一見すれば大きく数字を落としていない森にしても、入団から3年間フル回転している。成績は微妙ながら下降気味で、来季の上積みを求めるのは酷だろう。特に今季終盤は投球内容が悪く、セットアッパーの位置から外されていた。

 代わって起用されたのは先発要員だった岩嵜翔と東浜巨の2人だった。

 10月24日、ホークスはヤフオクドームで秋季練習を開始した。そこで佐藤義則一軍投手チーフコーチ(今季役職・来季組閣は未発表)にその両投手の来季起用法を訊ねてみると、このような答えが返ってきた。

「基本的に2人とも先発として考えているよ。初めからリリーフと決めつけてしまうと、万が一先発が足りなくなった場合に対処できない。今年だって頭数はいると言われたのに、足りない時期があったんだから。それに先発というのは彼らのためでもある。まだ若いし、それだけの力をつけてきた。先発の方が給料も上がる。そもそも投手には『全員先発!』と毎年初めには伝えるようにしている。その中で競争をして、勝ち残れなかった場合は中(リリーフ)をやってもらうかもしれない」

【次ページ】 工藤監督が就任した当初の理想を思い出せるのか。

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