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香川と清武の違い、本当に知ってる?
トップ下論争の前提を整理してみた。 

text by

西川結城

西川結城Yuki Nishikawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/10/24 11:00

香川と清武の違い、本当に知ってる?トップ下論争の前提を整理してみた。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

香川真司は細かいスペースでの受けなおし、動きなおしに真骨頂がある。縦に速い攻撃にはマッチしづらいが……。

清武は広いスペースで長いパスを出せるのが魅力。

 次は、トップ下・清武弘嗣の特徴を挙げていく。

・スルーパスを得意とする。短いレンジから長いレンジまで、精度の高いボールを蹴り分ける。
・ピッチの至る所に顔を出し、ボールに触れる。左右、上下と幅のあるプレーが可能。この流れでゴール前にも侵入し、決定機に関わる。
・推進力を生かし、長い距離のドリブルも駆使。そこからシュートを放つ形も持つ。

 清武は、香川ほど決定的な弱点を持ってはいない。彼の起用法に関して、トップ下やサイド、ボランチと多岐に意見が飛び交う理由は、そんなオールラウンダー気質なところが大きく関係している。

 その中で香川との違いを見ていくと、まず清武はパサーの一面を持っている点が大きい。香川も、当然短い距離でのパスセンスは保持している。しかし清武の場合は、20~30mレンジのスルーパスを通すキック力とパス精度が魅力だ。

狭い局面でのクイックネスは香川に分がある。

 さらに清武には、動きの幅がある。スペインで勝負しているだけにもちろん足元の技術力は高いが、狭い局面での細かいボールタッチの柔らかさでは香川に軍配が上がる。

 その分、少々味方との距離が空いていたり、チーム全体が間延びした状態になっていた場合でも、清武はボールの持ち運びや長いパス交換を生かして躍動的にプレーできる。

 わかりやすい例が、イラク戦の原口元気の先制点に繋がった場面。自陣中央からドリブルをスタートし、スピードに乗った状態で右サイドの本田圭佑に右足アウトサイドでスルーパス。そのまま清武は敵陣深くまで走り込み、本田からのリターンを受けてゴール前の原口へラストパス。見事、アシストにつながった。

 昔と比べて、清武の機動力は劇的に向上している。ただ香川との比較でいえば、彼はトップ下の中でもパサータイプに分けられるのである。

【次ページ】 引いて守るなら清武を、押し込むなら香川を。

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