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新日本オカダvs.ノア丸藤の両国決戦!
「次やったらわからない」2人の運命。
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2016/10/03 07:00
G1クライマックスでオカダから3カウントをとった丸藤。オカダの得意技レインメーカーを阻み、自分の得意技であるポールシフト式のエメラルドフロウジョンを見事に決めた。
「今のオレはノアを引っ張っていかなければならない」
丸藤はうまくいけば、二冠。
オカダもうまくいけば、二冠。
ノアの後楽園と新日本の両国の3日間で「銀の斧」と「金の斧」が取り換えっこになってしまう可能性もある。
丸藤はそれで構わないだろうが、それはオカダにとっては大問題で許されることではない。まさかオカダは、今度は「2つ貸しだ」とは言えないだろう。
「絶対、オレが勝つ。確信したよ」
丸藤は神戸で語気を強めている。
「新日本プロレスも、新日本プロレスのファンも、まあ、お楽しみに。俺がIWGPをとるから」と。
神戸の翌日、丸藤は37歳になった。丸藤は、その誕生日という節目に、ノアが2000年の夏に旗揚げしたころの自分を思い出したのだろう。
「あの頃、まだ20歳だったオレは金魚のフンみたいなものだった。でも、今のオレはノアを引っ張っていかなければならない」と決意をつぶやいた。
前回は棚橋に勝っての秋。今年はオカダに勝って……。
丸藤にとって、今回のスケジュールは4年前の2012年と似ている設定だ。
この年、丸藤はG1クライマックスのリーグ戦で当時のIWGPヘビー級王者棚橋弘至に勝った。そして、そのあとの神戸大会で、棚橋のIWGP王座に挑戦したが、棚橋に敗れてタイトル奪取はかなわなかった。
それが、今回は、相手がオカダで、場所が両国になっただけだ。
ジュニア・ヘビー級時代に丸藤は、全日本(世界ジュニア)、ノア(GHCジュニア)、新日本(IWGPジュニア)の3団体の王座を制覇したが、体が大きくない丸藤にとって、ヘビー級はジュニアの時代とはわけが違う。
オカダの身体能力がずば抜けているのは百も承知だ。丸藤がオカダを上回っているのはキャリアと機転の利く敏捷性だ。