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香川、清武、岡崎はCLで輝けるのか?
日本人所属3クラブのライバルを探る。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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posted2016/09/13 15:00

香川、清武、岡崎はCLで輝けるのか?日本人所属3クラブのライバルを探る。<Number Web> photograph by AFLO

香川は一昨季のCL決勝トーナメント1回戦ユベントス戦で2試合とも出場なしに終わった。2季ぶりの大舞台は雪辱の機会でもある。

香川所属のドルトムントは“熟成”レアルと同組。

< グループF >

ドルトムント、レギア・ワルシャワ、レアル・マドリー、スポルティング

 昨季王者マドリーの通過は堅い。ジネディーヌ・ジダン監督率いる白い巨人は本戦出場チームのなかでもっとも静かなオフを過ごし、新戦力はユベントスから買い戻したアルバロ・モラタのみ。1年間のローンを終えて帰還したマルコ・アセンシオも戦力とみなされているが、それ以外は昨季の優勝を知るメンバーだ。熟成路線を選択したチームの周辺では、実質1年目の指揮官の指導力に疑問を投げかける向きもあるようだが、ここで躓くことは考えられない。

 次点を争う、香川真司の在籍するドルトムントとスポルティングには共通点がいくつもある。どちらも昨季の国内リーグを2位で終え、CLのGSは2シーズンぶり。それぞれに国内屈指と評価される両指揮官は2年目のシーズンに臨み、前者はヘンリク・ムヒタリアン、マッツ・フンメルス、イルカイ・ギュンドガン、後者はジョアン・マリオ、イスラム・スリマニと、複数の主軸を放出している。

 アンドレ・シュールレ(ドルトムント)、バス・ドスト(スポルティング)と、ヴォルフスブルクからアタッカーの新戦力を獲得したところまで同じ両チームは、3、4節に相まみえる。ドルトムントとしては、初戦のレギア戦を確実にモノにして、マドリーをホームに迎える2節で引き分け以上の結果を収められれば、理想的な状況で直接対決に臨める。先の代表2連戦で沈黙した香川も、リーグ戦を含めて比較的厳しくない相手が続く序盤戦にリズムを取り戻したいところだ。

岡崎とレスターのライバルはポルトだが現在は過渡期。

< グループG >

クラブ・ブルージュ、コペンハーゲン、ポルト、レスター

 奇跡のプレミア制覇を成し遂げたレスターがポット1として組み込まれたこのグループは、E組と同様にどこが抜けてもおかしくない。

 昨季イングランド王者はクラブ史上初となるCLを戦うことになり、それは岡崎慎司やジェイミー・バーディー、リヤド・マフレズらにとっても同じだ。「昨季は最高だったが、もっと多くを求めたい」と話すクラウディオ・ラニエリ監督は、多くの主力を引き止めた上、アーメド・ムサやバルトシュ・カプストカなどの実力者を迎え入れ、臨戦態勢を整えている。ただし得意のカウンターは相手が守備を固めてきたときに威力を失うため、別の戦術も用意すべきだ。万能型ストライカー、スリマニを移籍期限ギリギリで獲得したのはその一手か。

 大手ブックメーカーでは、2度の欧州制覇の実績を持つポルトが僅差で首位通過の最右翼とされているが、国内での覇権を譲って3年が経過したチームにかつて欧州で猛威を振るった頃の面影はなく、ローマとのプレーオフも相手の自滅に助けられて突破した。アンドレ・シウバやルベン・ネービス、オタビオといった若手に期待がかかるものの、完全開花にはもう少し時間がかかりそうだ。1980-90年代の名GKミシェル・プロドームが率いるブルージュ、クラシカルな4-4-2で6シーズンぶりのGS突破を目指すコペンハーゲンも侮れないが、レスターが長く冒険を続ける可能性は決して低くない。

【次ページ】 盤石ユーベに対して清武&セビージャの“超攻撃”を。

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