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代表の左ウイングをめぐる四つ巴。
宇佐美貴史、勝ち点に直結する自信。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/09/06 07:00

代表の左ウイングをめぐる四つ巴。宇佐美貴史、勝ち点に直結する自信。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

今季から再びドイツの地に渡り、欧州でのキャリアを積み上げようとしている宇佐美貴史。現在24歳、ロシアの主役は譲れない。

個性の異なる4人が左ウイングを争う。

 サイドのスペースの有効利用。

 自陣を固めた相手を崩すために欠かせないサイドを上手く使えなかった原因は、前線の選手だけにあるわけではない。DFからのフィードやボランチからのパスがどこに出されるか、攻守のバランスをとるサイドバックの動きの質はどうか、なども関係してくる。もちろん、受け手(攻撃陣)のポジショニング、そしてプレースタイルが及ぼす影響もある。

 清武に代わりピッチに立った宇佐美貴史は「選手同士の距離が近すぎて、真司君のスペースがなくなっていた」とUAE戦について語った。

 指揮官は清武にFWとしての仕事を求めた。宇佐美や武藤(嘉紀)の起用も考えたが、ブンデスリーガ開幕から間もなく、「試合に出ていない」という状況を考慮し、清武を選んだという。当初は「中盤」構想だった原口元気を含めて、現在左ウイングのポジションは清武、宇佐美、武藤ら4選手が争っているようだ。彼らにはそれぞれ全く異なる強みがある。

宇佐美「仕掛けるプレー、そこからの崩しは自分が一番」

「中へ入っていくことが好きな選手もいれば、張り出すことが好きな選手、背後へ抜ける動きを連続させるのが好きな選手もいる。いろんなバリエーションがあると思います」

 9月4日夕方、バンコク市内での非公開練習を終えた宇佐美に、左ウイングの現状と彼自身の強み、武器について聞いた。

「サイドで持って、仕掛けるプレー。そして仕掛けてからの部分、細かいパスワークを使い、味方とのコンビネーションで崩していくところでは、自分が一番だと思うし、負けている部分はない。常にそういうイメージで準備している。誰を使うのか選ぶのは監督ですけど。

 僕がサイドで出れば、真司くんとの距離をとることもできる。真司くんはどちらかと言えば、右よりは左へ落ちて行きたい選手。中に視野をとりたい選手だと思うので、その幅、スペースを消してしまうと真司くんの良さも出ないかなって思う。張りっぱなしは良くないですけど、まずは幅をとってサイドで持ちたい。真ん中にしぼりながら、チャンスが来たら外へ張るのではなく、まずは外へ張り、サポートすべきときに少し中へ入っていくという感覚でもいい」

 サイドで宇佐美がボールを持てば、当然、相手選手も宇佐美のケアにまわり、中央にスペースが生まれる。そこを使うことに長けた選手は多い。

「誰が出るかはわからない」と繰り返しながらも、自身の武器を発揮するイメージを宇佐美は描いている。本職だからこその自信が感じられた。

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