セットプレーは“緩いマーカー”に狙いを定めた。

　いずれのゴールも「クリスティアーノ→ディエゴ・オリヴェイラ」のホットラインから生まれたものだが、ディエゴ・オリヴェイラのマークの外し方、ゴール前への飛び込み方、チームとしてのフリーのさせ方にその都度、工夫が見られた点が興味深い。

　そのことについて訊ねられた下平監督は「ディエゴの個人的なスキルだと思います」と煙に巻いたが、ディエゴ・オリヴェイラ自身は「セットプレーは重点的にやってきた。トレーニングの成果だよ」と笑顔を見せた。

　もちろん前提として、クリスティアーノのキック精度の高さがあるのは言うまでもないが、ディエゴ・オリヴェイラに付くエドゥワルド・ネットのマークがどの試合でも緩いことも分析済みだったに違いない。

　また、両サイドハーフ、左のクリスティアーノと右の伊東純也、柏が誇る“二枚の槍”が、守備面に不安を抱える川崎の右サイドバックのエウシーニョ、左サイドバックで負傷明けの車屋紳太郎に対して、徹底的に仕掛ける姿勢にも“対策の成果”は見えた。

中盤と最終ラインの守備ブロックをコンパクトに。

　もっとも、こうした攻撃面以上に効果的だったのが、柏が築いたコンパクトな守備ブロックだった。

　最終ラインの4人と中盤の4人の8人でブロックを築き、相手にスペースを与えないようにする守備は、Jリーグでもよく見られるものだ。とはいえ実際には、穴だらけの“ブロックもどき”も少なくない。

　だが、この日の柏のブロックはタイトだった。4＋4のブロックを縦も横も圧縮し、川崎の選手がプレーするスペースを埋める。中央をしっかり締めて外へ、外へと川崎の攻撃を追い出そうとした。

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