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正守護神ハート放出の一方で……。
ペップ・マンCで輝く“英国産”は誰? 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2016/08/27 07:00

正守護神ハート放出の一方で……。ペップ・マンCで輝く“英国産”は誰?<Number Web> photograph by AFLO

ストーンズとコミュニケーションを取るグアルディオラ監督。ポゼッションを最重要視する指揮官にとって、後方のキーマンとなるのは間違いない。

韋駄天スターリングもEUROでの汚名を返上する好機。

 ラヒム・スターリングも同様だ。21歳の韋駄天が、今夏のストーンズと並ぶ英国人史上最高レベルの移籍金4900万ポンド(当時約94億円)で獲得されたのは昨年7月。抜群の突破力で、当時は代表でも最も将来を期待された1人だった。しかし、マンC1年目は移籍金でも自身を凌いでいたケビン・デブライネの影に隠れ、代表ではEURO2016で最も非難された選手。ミスのあったハートを含めてチーム全体が最悪だったのだが、スターリングはソーシャルメディアで自ら「Hated One(憎まれし者)」とタグをつけるほどだった。

 実際には、左右どちらのウィングでも機能し、トップ下的な役割もこなすセンスを持ち、プレッシングも精力的にこなすという、ファンに愛されて然るべきアタッカー。グアルディオラはEURO期間中に連絡を入れて「徹底支援」を約束し、マンCでの初会見でも「指導が楽しみな選手」としてスターリングの名前を挙げた。その効果の表れが、開幕からの国内外3戦で3アシスト。他にも、スピードを武器に奪ったPKで2度の得点機を提供している。

 ストーク戦では、BBC『マッチ・オブ・ザ・デー』のゲスト解説者フィル・ネビルから「自分でゴールを狙って欲しい」と注文がついたが、厳しすぎるようにも思える。前半早々に惜しくもバーの上を越えた右足シュートから、後半ロスタイム中のノリートへのアシストまで、スターリングは終始相手を脅かした。シュートではなくパスを選んだ最後のプレーにしても、「チームありき」のグアルディオラには評価されるに違いない。

「改めてプレミアは気を許せない」と痛感したペップ。

 とはいえ、別のチャンスの場面では力のないシュートに終わっていたように、フィニッシュがリバプール時代からの課題ではある。マンCの前監督も改善を望んでいた。だが期待の高さの裏返しか、ペジェグリーニには珍しく公の場で「努力が足らない」と発言した叱咤が、当人には自信の面で逆効果となった。後を受けたグアルディオラは、3試合ともスターリングの出来を「素晴らしい」とは言っても、個人的な無得点を取り上げてはない。

 とはいえ開幕戦は、ボール支配率では77%対23%と圧倒しておきながら、結果は相手のオウンゴールによる辛勝だった。その後の会見で指揮官は「改めて(プレミアは)気が許せないと痛感した」と語っている。それだけに相手の息の根を止める決定力を高めるべく、舞台裏ではスターリングのフィニッシュをも磨こうと取り組むはずだ。

 満を持してプレミアにやって来た「マネージャー・リスクテイカー・エデュケーター」ことペップには、マンCファンならずとも期待を寄せずにはいられない。

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