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ベスト4は全て2回戦スタートの学校。
甲子園の「クジ格差」は実力の内か。 

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中村計

中村計Kei Nakamura

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photograph byHideki Sugiyama

posted2016/08/25 11:30

ベスト4は全て2回戦スタートの学校。甲子園の「クジ格差」は実力の内か。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

秀岳館は、2回戦スタートに加えて見事な継投で投手の負担を軽減することに成功していた。

常総vs.秀岳館も、同じ条件で観たかった。

 準々決勝の第1試合、常総学院と秀岳館の試合も、常総が秀岳館よりも1試合多く戦っていたことの不利がはっきりと表れた。ここまで常総学院のエース鈴木昭汰は3試合連続で先発し、3回戦では優勝候補の履正社相手に完投。佐々木力監督が「3回戦で、2試合分ぐらい消耗してしまった」と語るほどに疲労していた。

 秀岳館はまだ3試合目なのに加え、複数の投手で勝ち上がってきていたため、余力の差は歴然としていた。鈴木昭は、ボールにいつものようなキレと制球力がなく、3回2失点でノックアウト。2番手も粘り強く投げたが1-4で敗退した。

 好カードだっただけに、もしこの試合が3試合目同士、あるいは4試合目同士だったら、もう少し接戦になったのではないかと悔やまれる。

明徳・馬淵監督は「そら大きいでぇ」。

 7日目の2回戦から登場し、4強入りを決めた明徳義塾の馬淵史郎監督は声を潜めて言う。

「……そら大きいでぇ。1回戦からやったら、1試合多い上に、2回戦までに中4日も5日も空くんやから。2回戦からやったら、空いても2、3日ぐらいのペースで、ぱぱぱっとやれる。そこの間隙を縫って勝ち上がったのが、うちや(笑)。でも、まあ、それも実力のうちよ」

 確かに、そうした運不運も夏の甲子園のおもしろさなのだろうが、今大会のように有力校が「2回戦枠」に集中すると、そのアドバンテージが結果に直結してしまう。

 試合数の不平等を是正するには、参加校数を選抜大会のように32校に絞るか、64校に増やすしかない。前者は各都道府県1校以上という魅力が薄れるし、後者は日程的に難しい。

 解決は容易ではない。

 しかし、このままだと、来年以降、こんなセリフが定着しそうな気がする。

「今年もまた、2回戦登場が勝ったか」

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