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ナポリのイグアインロスは埋まるか。
マラドーナはタイトルを叫ぶが……。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2016/08/10 11:30

ナポリのイグアインロスは埋まるか。マラドーナはタイトルを叫ぶが……。<Number Web> photograph by Getty Images

長らくナポリを支えるハムシクと、サッリ監督。このクラブの“背骨”は全くぶれていない。

得点王の存在と優勝は、意外なほどに関係がない。

 昨季のナポリは、攻撃のフィニッシュこそFWイグアインへ全面的に依存していたが、まずチャンスメイクの数とクオリティにおいて、ライバルたちを圧倒していた。

 リーグ戦での最多得点こそ3ゴール差でローマに譲ったものの、国内外のカップ戦を合わせたシーズン通算得点では、ローマやユーベを上回る106ゴールを叩きだした。イタリアで唯一の三桁ゴールは、決してイグアイン1人の力によって成し遂げられたものではない。

 そもそも得点王を擁したチームがスクデットも獲得したケースは、過去10年間でたった一度、'08-'09年シーズンのFWイブラヒモビッチとインテルの例だけだ。

 5連覇中のユベントスにしても、最初のスクデット・イヤーだった'11-'12年シーズンに大量得点を上げたストライカーはいなかった。その年のチーム得点王だったFWマトリがゴールネットを揺らしたのは、わずか10回にすぎない。

 大黒柱を失ったからこそ、今季のナポリにはチームとしての底力が問われている。

“ナポリの神”マラドーナが「タイトルだ」!

 1日、ナポリは本拠地サン・パオロで、クラブ創立90周年の記念式典を祝い、リーグ・アンのニースを招いてテストマッチを行った。

 今季ELに出場するニースとの試合は、DFクリバリーとFWメルテンスのゴールで3-0の完勝を収めたが、むしろイベントの本番は式典に寄せられたマラドーナのビデオメッセージだったかもしれない。かつて、マラドーナは“老貴婦人”からの誘いを蹴った。

「イグアインとのことはもう終わった話。だが、私とナポリの愛は永遠だ。私がナポリを裏切るものか」

 そして、“ナポリの神”は2万人の前で吠えた。

「2位や3位はもうたくさん。欲しいのはタイトルだ」

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