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「絶対に這い上がってやりますよ」
生き残りへ崖っぷちの青木宣親。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2016/08/10 07:00

「絶対に這い上がってやりますよ」生き残りへ崖っぷちの青木宣親。<Number Web> photograph by AFLO

マリナーズは勝ち頭・岩隈久志の活躍もあり、プレーオフ争いに踏み止まっている。

3割を超えていた対左の成績が今季は2割以下。

 青木がマイナーに降格した理由の1つは、サービス監督が言うように「毎日出場する選手ならば、左投手をもっと打てなくてはならない」からである。右投手との対戦打率はマイナー降格時で2割7分6厘。過去3年の平均が2割6分3厘であることを考えれば、例年以上の成績とも言えた。違っていたのはやはり、左投手との対戦打率だ。

 青木の対左投手の打率は、メジャー移籍後、’12年以外は3割を超えていた。ところが今季は1割7分7厘。野球に「たら・れば」がないことを承知で書けば、対左投手に例年通りの数字を残していたなら、今頃は総合成績で例年通りの打率2割8分台、いやそれ以上の成績が残っていた可能性さえある。

「去年と打ち方を変えて、ボールの見方が変わったというのもある」

 普段から打撃については「企業秘密だから」と詳細を語らない青木の口が、対左投手の不調を問うと、さらに重たくなる。詳細が分からないなら仕方ない。では彼はなぜ、去年の打撃を変えようとしたのか。

「それはいつでも、より良いものを求めているからですよ」

 見ていて簡単に分かることもある。たとえばスタンスをオープンに構えたり、スクエア気味に構えたり。グリップの位置が下がることもあれば、上がることもある。道具もコロコロ変わる。白いバットに黒いバット。もちろん色だけではなく、重さや太さも微妙に違うようだ。打撃用のグローブもしたり、しなかったり。目的はいつも同じ。より確実に球を捉え、より強い打球を打つためである。

これまでの成績では満足できないからこそ。

「ロイヤルズやジャイアンツで残したような成績では満足できないと本人が言うのだから、それ以上のものを求めて行かないといけない」

 そう言ったのは、青木と二人三脚で野球人生を歩んできた個人トレーナーの原田雅章だ。

「ノリの打率はメジャーに来てから2割8分ちょっと。日本では普通に3割を打ってたやつなんだ。その壁をぶち破りたいんだよ」

【次ページ】 日本でなら出来ることが、メジャーではできない。

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