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小平智が全英で「一層、海外に」。
スポーツに“内向きな若者”は無縁!? 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2016/07/30 08:00

小平智が全英で「一層、海外に」。スポーツに“内向きな若者”は無縁!?<Number Web> photograph by AFLO

世界の舞台ではデイ、マキロイら同世代に加え、年下のスピースが活躍している。小平智26歳、いまが勝負の時なのだ。

小平「より一層、海外に行きたくなった」

「メジャーは試合の規模も違うし力も入る、気持ちも先走る。1回行って、試合前に練習ラウンドしたくらいじゃ。どう打てばいいか分からない場面もまだある。ひとつひとつの状況判断、冷静さが周りと違う。(リンクスコースの特徴的な)バンカーだって、出せそうで出ないんですよ。そういう判断も自分は遅いし……」

「より一層、海外に行きたくなった。海外に行くのが“当たり前”になりたい。あそこに出るのが当たり前になりたい」

 訥々と反省の言葉を並べながら、彼が問題の解決策として挙げたのが「チャンスがあれば、ヨーロッパ(欧州ツアー)のQTを受けてみたい」という案だった。

 QTとは(Qualifying Tournament/米ツアーなどではQスクールとも呼ぶ)の略称で、翌シーズンの出場権を争う予選会のことである。1次、2次といった具合に関門があり、最終予選会は年度末(アジアンツアーなどは年始)に行われ、各国のツアーが職場を求める選手に門戸を広げている。

「着実にステップを踏んできた」という矜持。

 欧州ツアーはユーラシア大陸全土のほか、アフリカや豪州なども巻き込んで年間スケジュールを構成する。賞金規模も米ツアーよりは小さいが日本ツアーよりは大きく、なにせメジャーでも活躍するトッププレーヤーも多い。

「ヨーロッパなら、色んな状況やコースへの対応が身に付くのでは。リンクスコースも、林間コースもある。ひょっとしたらアメリカよりも適応能力がつくかもしれない。もちろんたった1回のチャンスでもものにするのが一流なんですけど……、松山(英樹)みたいにいくのはなかなか難しい。僕にはそんな技量はない。日本でも着実にステップを踏んできた」

 小平はいまでこそ日本で通算3勝、うち2勝が国内メジャー制覇という立派な実績があるが、プロ入り直後は下部ツアーで腕を磨いてきた選手。一昨年は米下部ツアーの予選会にも挑戦した。失敗を繰り返しながら、階段を上がってきたことに彼の矜持はある。

【次ページ】 米ツアーの日本人減少には、予選制度変更が。

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