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「11年目の野望」。申ジエが目指す、
強いゴルフとそれを支える人たち。

posted2016/08/03 11:00

 
「11年目の野望」。申ジエが目指す、強いゴルフとそれを支える人たち。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

text by

石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph by

Nanae Suzuki

 前人未到のトリプルクラウンへ――。

「上を目指し努力することは、さほど難しいことではないと思います。明確な目標があるわけですからね。しかし私は、自分で言うのも恐縮ですが、早い段階で頂点に行ってしまいました。結果、トップを維持することの大変さに私は苦しみました。そういったとき、私を支えてくれたのは……」

 女子プロゴルファー申ジエは、ひとつひとつ言葉を慎重に選びながら口を開く。

 この日、千葉県にあるグレートアイランド倶楽部では『2016年・申ジエ&スリーボンドジュニアトーナメント』が開催されていた。これは申が中心になり主催したジュニアの大会で、昨年につづき二回目の開催となる。前回は、故郷の韓国は全羅南道で開催されている。

 自分自身の話をするときの申からはシリアスな影が浮かぶが、ジュニア選手たちの話に関しては、ほのかな熱が帯びる。

「プロになって11年目なのですが、自分の立場を鑑みてゴルフという競技に恩返しをする時期ではないかと思っているんです。振り返れば、幼い時代に試合をする機会を頂いたからこそ今の私があるわけです。

 だからプロを目指してゴルフをやっている子どもたちに機会を提供してあげたい。子どもたちに希望や目標を持ってもらう、こういったイベントは続けて行くことが大切だと思っています。私自身、子どもたちのプレーを見ていると初心に帰れるし、一方で子どもたちの希望になれるようにもっと頑張らないといけないなって思えるんです」

 申のジュニア時代は、まさに“神童”と呼ぶにふさわしいものだった。

 1999年、小学校5年生のときに父親の「スポーツ選手に育てたい」という思いの元、申はゴルフを始める。当時、朴セリが全米女子オープンで史上最年少優勝(20歳9カ月)を達成し、韓国は空前のゴルフブーム。こぞって多くの子どもたちがゴルフクラブを握った。ちなみに申と同様、イ・ボミやキム・ハヌルといった韓国の有力選手たちは1988年生まれで88(パルパル)世代と呼ばれ、あるいは'80年代生まれの選手を“朴セリキッズ”と総称し、現在における韓国女子の選手層の厚さの礎になっている。

【次ページ】 ゴルフの前にやっていたある競技の経験が活きている? 

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