岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER

五輪で7人制ラグビーを楽しむために。
岩渕健輔がその魅力と特異性を解説! 

text by

岩渕健輔

岩渕健輔Kensuke Iwabuchi

PROFILE

photograph byAFLO

posted2016/07/27 17:00

五輪で7人制ラグビーを楽しむために。岩渕健輔がその魅力と特異性を解説!<Number Web> photograph by AFLO

広いコートを7人でカバーするセブンズは、求められる能力が違う。15人制のスピードスターですら選考から外れる厳しい世界なのだ。

15人制のスターといえども、活躍できるとは限らない。

 7人制ラグビーが、競技として一気に成熟度を高めてきていることは、他の点からもうかがえます。いわゆる「15人制のトップ選手」が、以前ほど存在感を発揮できなくなってきているのは、その一例でしょう。

 7人制のラグビーでは「個」の能力が重要になります。その中で、すばやく代表の強化を図るために、多くの国では15人制のスター選手たちを7人制の代表メンバーに加えてきました。

 代表的な例としては、ニュージーランド代表のソニー・ビル・ウィリアムズや、オーストラリア代表のクエイド・クーパー、南アフリカ代表のブライアン・ハバナといった選手が挙げられます。

 たとえばウィリアムズ選手は15人制のニュージーランド代表や、スーパーラグビーのチーフスで主軸を務めていますが、ヘビー級のプロボクサーとしての顔も持つ、ラグビー界の顔です。クーパー選手もオーストラリア代表には欠かせない選手であり、ハバナ選手は、南アフリカ代表のスーパースターです。

 ところがこれらの3選手のうち、リオ五輪の最終メンバーに選ばれたのはウィリアムズ選手のみです。しかもウィリアムズ選手ですら、7人制の代表では15人制の代表ほど強烈な存在感を発揮しているわけではありません。7人制は個の能力がクローズアップされる傾向が強くなりますが、15人制のトップ選手だからといって、7人制ラグビーに必要とされる能力を兼ね備えている、とはならず、チームとしての成熟度も重要になってきているのです。

日本の男女も、100日以上の合宿を組んできた。

 日本代表の男女も、昨年11月にオリンピック出場を決めた後は100日間を超える激しく厳しい合宿を実施してきました。RWCのイングランド大会に臨んだ時と同じように、チームを根底から鍛え直すことに取り組んできました。

 以前の7人制ラグビーの代表合宿では戦術のトレーニングに主眼を置くのが一般的でしたが、まずはフィジカルの強さやフィットネス、そしてコンディショニングといったベースの部分を徹底的に上げることから取り組みました。結果、男女の代表ともチームの状態は過去4年間で一番充実したものとなっています。

【次ページ】 帰化選手を含む男子、出自が様々な女子。

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
岩渕健輔
リオデジャネイロ五輪
オリンピック・パラリンピック

ラグビーの前後の記事

ページトップ