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都市対抗のプロ候補投手11人。
ストレートと、もう1つの条件とは?

posted2016/07/21 11:00

 
JR東日本の田嶋大樹は、都市対抗で167球の熱投を見せた。

JR東日本の田嶋大樹は、都市対抗で167球の熱投を見せた。

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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Kyodo News

 社会人野球の大舞台、都市対抗が連日盛況である。社会人野球ならではの力を惜しまない全力疾走の徹底が魅力の大会で、私が俊足の基準にする「打者走者の一塁到達4.3秒未満、二塁到達8.3秒未満、三塁到達12秒未満」を1回戦で、ヤマハ、JFE東日本、東京ガス、Honda鈴鹿、王子、新日鉄住金かずさマジックが既に5人以上クリアしている。

 この中でヤマハ、Honda鈴鹿、王子という東海地区のチーム名が、私には光って見える。1回戦ではヤマハがJFE東日本に9-4、Honda鈴鹿がJFE西日本に10-1と大勝し、王子は強豪・JR東日本を延長10回の末に2-0で退け、3チーム以外でもトヨタ自動車が七十七銀行を2-0、西濃運輸が2-0で大阪ガスを破り、東海地区から出場した6チームがすべて勝ち上がっているのである。

 昨年は“関西の時代”と言ってよく、準々決勝に日本生命(大阪市)、日本新薬(京都市)、大阪ガス(大阪市)、NTT西日本(大阪市)の4チームが進出し、決勝は日本生命と大阪ガスという大阪対決になった。

 神奈川、東京をはじめとする首都近郊勢が長く頂点に君臨してきた大会だが、'14年は西濃運輸が10年ぶりに東海地区に栄冠をもたらし、昨年は日本生命が18年ぶりに黒獅子旗を手にした。ようやく“都市対抗”の名にふさわしい群雄割拠ぶりが私には楽しく、今年は創部65年にして、東北の第1代表として東京ドームに乗り込んだ山形市のきらやか銀行の健闘が話題になった。

140キロ台後半の本格投手がゴロゴロ。

 野手の全力疾走とともに目につくのが、本格派投手の活躍である。ドラフト上位候補として名前が挙がる山岡泰輔(東京ガス)は、初戦で昨年8強のNTT西日本を3安打完封で退け、最速148キロのストレートとスライダー、チェンジアップを交えた緩急のコンビネーションはプロでも即戦力とプロのスカウトを唸らせた。

 王子の近藤均と延長10回にわたる屈指の投手戦を演じた左腕・田嶋大樹(JR東日本)も、今大会を代表する本格派だ。ストレートの最速は山岡同様148キロに達し、スライダーとシンカーを交えた横の揺さぶりもスカウトの目を引いた。

 この山岡と田嶋は先発タイプとしてプロの注目を浴びているわけだが、「縁の下の力持ち」に徹することができる犠牲的精神こそ社会人投手の真骨頂で、それが最も発揮されるポジションは、全力疾走の1、2番のチャンスメーカーであり、投手ならリリーフ投手である。

【次ページ】 プロでも、先発・リリーフに社会人出身は多数。

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