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「そろそろ勝ちに行く」で首位奪取。
ソフトバンク二軍にも常勝哲学あり。

posted2016/07/20 11:00

 
「そろそろ勝ちに行く」で首位奪取。ソフトバンク二軍にも常勝哲学あり。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

ドラフト1位ルーキー高橋純平らと笑顔でナインを迎え入れる水上二軍監督。育成と勝利のバランスが常勝の若鷹軍団を作り上げている。

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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NIKKAN SPORTS

 7.5差をひっくり返した。

 若鷹、すなわちホークスの二軍である。

 7月11日、ナゴヤ球場でのウエスタン・リーグで、開幕から独走状態だったドラゴンズとの直接対決に勝った。5月30日時点であった今季最大ゲーム差を42日間で逆転して、首位に浮上したのだ。

 若鷹たちはその翌日も勝利。逆に1.5差をつけて前半戦を終えた。破竹の12連勝ターンだった。

 今年もこのままトップで逃げ切れば、ウエスタン記録を更新するリーグ5連覇となる。

 ホークスは、二軍も強い。

 特に'11年に三軍制度を導入したことで他球団との力量差が開いた。二軍は「育成」と「調整」の2つの観点から成る。ファームの試合に、一軍でもよく名前を聞くような選手が出場することは珍しくない。その中にプロに入りたての若手選手が混じり、チームが構成されるのが他球団の二軍の通例だ。

競争を勝ち抜いた「一軍予備軍」が闘う舞台。

 しかし、ホークスは三軍組織が独立しているため二軍の中にも「競争」が生まれ、そこからふるい落とされた選手は三軍扱いとなる。

 つまり、ホークス二軍はチーム内の競争を勝ち抜いた「一軍予備軍」だけで戦う。しかも12球団屈指の分厚い選手層だ。開幕投手の攝津正をはじめ外国人選手のカニザレスが今季は多くの時間をファームで過ごす。また、ウエスタンでタイトルを獲った実績のある猪本健太郎('14年本塁打王)や牧原大成('14年首位打者、最多安打)、上林誠知('15年首位打者、最多安打、盗塁王)らも主力クラスの壁を越えられず、一軍定着には至っていない。相当ハイレベルな競争が二軍のチーム内で行われており、他球団より力が図抜けて抜けていて当然なのだ。

【次ページ】 昨年も13連勝などで7.5ゲーム差をひっくり返した。

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