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億超え14頭、合計落札額は149億円!
セレクトセールにも競馬ブームの風が。 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byJunji Fukuda

posted2016/07/14 11:00

億超え14頭、合計落札額は149億円!セレクトセールにも競馬ブームの風が。<Number Web> photograph by Junji Fukuda

サトノダイヤモンドの全弟、マルペンサの2016が今年の最高額を記録した。ポテンシャルは世代最強とも言われる兄を超えられるか。

当歳の最高額2頭はともに「サトノ」の里見氏が購入。

 2日目の12日には232頭の当歳馬が上場され、173頭が落札。合計落札額は68億1150万円で、これまでの最高だった2014年の65億4705万円を上回る史上最高額となった。なお、落札率は74.6%だった。

 当歳の最高額で落札されたのは、「イルーシヴウェーヴの2016」(牡、父ディープインパクト)と「マルペンサの2016」(牡、父ディープインパクト)で、どちらも2億8000万円。2頭とも「サトノ」の冠名で知られる里見治氏が購入した。「マルペンサの2016」は今年のダービー2着馬サトノダイヤモンドの全弟だ。里見氏のアドバイザーとして同席していた池江泰郎元調教師は、「素晴らしい馬です。里見オーナーに初めてのGI優勝をプレゼントしてくれるといいですね」と語った。

 そのほか注目を集めたのは、日本馬として初めてレーティング世界1位になったジャスタウェイの初年度産駒で、牡の「アドマイヤテレサの2016」は1億4000万円で落札された。

 また、'12年のヴィクトリアマイルなどを勝った女傑ホエールキャプチャの初仔「ホエールキャプチャの2016」(牡、父オルフェーヴル)は、1億7000万円で(有)ビッグレッドファームに落札された。

ハイセイコーの1次、オグリの2次に続く競馬ブームに?

 主催者である日本競走馬協会の会長代行をつとめる社台ファームの吉田照哉代表は、2日間の売上げの合計が150億円近くになった感想を問われると、「売る側の私たちも驚いています」と笑顔を見せた。

「エイシンヒカリやラニなどが海外で活躍し、日本馬が世界で通用すると認識されるようになったことが、みなさんの気持ちを高めたのかもしれません。海外から来たバイヤーの方々も、ちょっと見てみようという感覚ではなく、本気であることがわかりました」

 1億円を超える馬がこれだけ出たことについては、こう話した。

「やはり、繁殖牝馬の質がさらに上がったことが大きいと思います。また、去年ぐらいから入ってきた新しいオーナーさんが、高馬を買われる常連のオーナーさんに競りかけていくことで上がった部分もありますね。この流れは、来週のセレクションセールにも影響するのではないでしょうか。競馬界全体が明るくなっているというか、希望に満ちているように感じられますね」

 確かに、JRAの売上げも回復基調にあり、ハイセイコーが活躍した1970年代の第1次競馬ブーム、オグリキャップが火をつけた'80年代後半から'90年代にかけての第2次競馬ブームにつづく、第3次競馬ブームが訪れようとしているのかもしれない。

 そう感じさせられる、活気にあふれたセレクトセールであった。

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