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広島追撃、そしてCS初出場へ――。
DeNA梶谷隆幸の打棒に火はつくか。 

text by

日比野恭三

日比野恭三Kyozo Hibino

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/07/13 07:30

広島追撃、そしてCS初出場へ――。DeNA梶谷隆幸の打棒に火はつくか。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2014年には盗塁王を獲得した梶谷が出塁すれば、DeNAの攻撃に分厚さが増すだけに完全復調に期待がかかる。

コメントからはどうしようもない悲壮感が……。

 本人は、打てた日も打てなかった日も変わらず前を向いて記者の質問に答えていたが、そのコメントにはどうしようもない悲壮感が滲むこともあった。

「落ち込んでもしょうがない。打てなかったとしても、そこばっかりにとらわれないようにしないと、どんどん変な方向にいっちゃうんで」(6月3日・ロッテ戦終了後)

「悔しい。結果が出てないから、ああ、外されたなあって」(6月17日・スタメン落ちした楽天戦終了後)

 しかし、交流戦が明けたころから徐々に復調の気配を見せ始める。一つの転機となったのは、7番に入り、4打数3安打と結果を残した7月2日の広島戦だった。

「正直、感触はそこまで変わってないんですよ。ただ、バットの軌道をちょっと変えて、体の向きを横に振らないようにっていうことだけを今日は強く決めてやりました。バットを縦に出して、ちょっと下から持ち上げるというか。倉本みたいなイメージです。詰まったらレフトにいくっていう」

体の回転とスイング軌道の修正をきっかけに復調。

 梶谷が名前を出した倉本寿彦はショートを守るプロ2年目。今季は打率3割をキープするなど好調な打撃を続けている。その倉本が明かす。

「(梶谷から)何回か、バットの使い方を聞かれました。でも実績がまったく違うので、参考にさせてもらうことはあっても、僕からは何も言えないですよね。『僕の場合はバットをボールのラインに入れることを意識しています』というふうには答えましたけど……」

 年下の後輩の言葉にヒントを求めるほど、梶谷の悩みは深かったのだろう。

 体の回転とスイング軌道に加えた修正は、スランプ脱出の足掛かりとなった。交流戦明けの出場13試合の打率は.391(7月10日終了時点)。7月に入ってからの9試合に限れば30打数14安打の.467と、交流戦のころとは別人のようなハイアベレージを記録している。

 そうしてようやく聞かれたのが、冒頭のポジティブな言葉だったのだ。

【次ページ】 「悪いことばかり続くことはない。自然と良くなる」

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