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ロナウドとポルトガル、永遠の日。
勝利に愛された泣き虫のエース。 

text by

井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/07/12 11:30

ロナウドとポルトガル、永遠の日。勝利に愛された泣き虫のエース。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

優勝セレモニーの間も、ロナウドの目はずっと潤んでいた。この泣き虫のエースに優勝を、とチーム全員が願っていたのだ。

泣き虫のエースと、大切な仲間たち。

 エウゼビオやフィーゴ、ルイコスタといったレジェンドでさえ手に入れられなかったメジャータイトル。欧州最西端の、ラテンにしてはおとなしい国の人々は、この喜びをじっくりと噛みしめ、打ち震え、咽び泣いているような気がする。

 もちろん単に喜びを爆発させている人もいるはずだが、その傍らにはそんな人が多くいると想像する。僕が12年前に訪れた彼の国は、どことなく物哀しさの漂う素敵なところだったから。

 つい9カ月ほど前までユースチームでプレーしていた18歳のレナト・サンチェスは、文句なしの大会最優秀若手選手賞を受賞。彼と同世代や少し上の世代にもタレントは豊富だし、5月のU-17欧州選手権を制した世代もそれに続く。カギは栄誉とともに後進たちに手渡された。

 現地紙『O Jogo』は悲願達成の翌日、「Eternos(永遠)」と一面に見出しを打った。この偉業は不滅のものに違いないが、あるいはこれを契機に、王国ブラジルの旧宗主国が、大航海時代のように世界に覇を唱える日が来るかもしれない。そうなれば、その先鞭をつけたのは、勝利を追い求め、勝利に愛された泣き虫のエースと、その大切な仲間たちだったと振り返られることだろう。

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