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野球界の奇妙な「不公平論」を斬る。
70人枠撤廃も、コリジョンルールも。

posted2016/07/08 17:30

 
野球界の奇妙な「不公平論」を斬る。70人枠撤廃も、コリジョンルールも。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

選手、そしてファンが納得する形を模索するための変化を怖れては何もできない。コリジョンルールはその最たるものだ。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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NIKKAN SPORTS

「資金力のあるチームばかりが選手を獲得して不公平ではないか」――支配下選手登録の70人枠を巡って、こう主張する球団があるのだという。

 70人枠の撤廃は日本プロ野球機構(NPB)の中でも長年、論議されてきた大きなテーマの1つだった。

 昨今のソフトバンクの隆盛を語るとき、キーワードになるのが三軍制度という言葉である。要は強い組織を作るためには豊富な人材を抱え、厳しい競争環境を作ることが、その組織の活性化の土台になるということだ。そのために球団はより多くの将来性のある選手を抱えようとするのだが、育成制度ができるまでは支配下登録が70人までというこの制度が大きな足かせとなっていた。

 これまで何度もこの枠の撤廃が論議されたが、70人枠に固執する球団の論理が冒頭の「不公平感」だったのである。

 ただ、ここで語られる「不公平」とは何なのか?

チーム作りは、下のレベルに合わせる必要がある?

 例えば選手を100人抱えるチームは一軍に30人の選手を登録できるわけでも、グラウンドに11人の選手が立てるわけでもない。どんなに多くの選手を抱えようと一軍登録は28人で、試合に出場できるのは指名打者制度のあるパ・リーグは10人、セ・リーグは9人でしかない。

 70人枠を撤廃しても、実際の戦いでチーム間に一切の「不公平」は生まれないのは明白なのである。

 要は選手を多く抱えられるようになると、資金力のあるチームの競争が激しくなり組織が活性化するかもしれないから、それは「不公平」だということなのだ。要は、チーム作りを下のレベルに合わせなければ公平ではないという考えなのである。

 結果的には育成制度ができたことで、選手獲得という点では支配下選手枠の問題は表面上はクリアされたように見える。ただ、実際面では育成から支配下に登録する際には70人枠があることで、まだまだ様々な弊害があるのも事実なのだ。

【次ページ】 コリジョンルールでも登場した奇妙な公平論。

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