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躍進インディアンスと「呪い」の打破。
フランコーナ監督から目が離せない。

posted2016/07/09 08:00

 
躍進インディアンスと「呪い」の打破。フランコーナ監督から目が離せない。<Number Web> photograph by Getty Images

14連勝目をサヨナラで飾ったインディアンス。ここもまた、メジャーに数ある「呪い」のかけられた球団である。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 クリーヴランド・インディアンスの好調が続いている。チーム新記録の14連勝を達成したあとは、さすがにやや気抜けしたようだが(ブルージェイズに1-17と惨敗した)、7月に入っても(3日現在)勝率6割をキープしているのはみごとだ。

 なによりも、同地区(ア・リーグ中地区)のチームに対して24勝10敗と大きく勝ち越しているのが頼もしい。2位のタイガース(勝率5割3分7厘)が、この直接対決で12勝16敗と負け越しているのとは対照的だ。3位のロイヤルズも、ブルペンは相変わらず素晴らしいが、先発陣が冴えない。東地区のオリオールズやレッドソックスは先発陣が不安定だ。この調子で行くと、ア・リーグのペナントを争うのは、インディアンス、レンジャーズ、アストロズの3球団になるのではないか。願望としては、レッドソックスにも割り込んでもらいたいのだが。

トレードに出された有望新人の「呪い」?

 となると、つい期待するのは、インディアンス68年ぶりのワールドシリーズ制覇である。ご承知のとおり、このチームは1948年以来、シリーズ制覇を果たしていない。108年間の無冠をかこっているカブスほどではないが、けっこう長い氷河期だ。1990年代後半や2000年代にはかなりいい線まで行ったこともあったのだが('95年と'97年はワールドシリーズに進出。'97年などは、あと一歩のところでマーリンズに栄冠をさらわれた)、最後はやはり涙を呑んでいる。

 わけても低迷が顕著だったのは、'60年から'93年にかけての34年間だ。この間、インディアンスが勝率5割以上を記録したシーズンは、たった7度しかない。逆にいうと、負け越したシーズンが27回。あまりの不振を嘆いた地元のファンは「コラヴィートの呪い」という言葉までささやきはじめる始末だった。

 ロッキー・コラヴィートは、当時猛打をふるったインディアンスの右翼手だ。'55年に22歳でデビューし、'58年には早くも41本塁打を放ってMVP投票の3位につけている。好調はつづき、翌'59年には42ホーマーを放って本塁打王に輝く。同年6月10日には、1試合4本塁打も記録した。'56年から'59年までの通算本塁打数は129本。

 この前途洋々たる青年を、インディアンスのGMフランク・レインがトレードに出した。2割5分台に落ちた彼の打率を嫌い、'59年にタイガースで首位打者を獲得したハーヴィ・キーンと交換したのだ。

【次ページ】 GMのスタンドプレーでチームが壊れるのは珍しくない。

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