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「アーセナル浅野」が輝くための条件。
献身性、名手との競争、そして強気。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2016/07/06 07:00

「アーセナル浅野」が輝くための条件。献身性、名手との競争、そして強気。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

7月2日のJリーグ磐田戦では自慢の俊足を生かして3-0勝利に貢献。サポーターの声援に応えた。

ジルー、サンチェスらが控えるFWの層は分厚い。

 とはいえ、新天地アーセナルでは試練が続くことになるだろう。

 まず、すぐにアーセナルでプレーすることが難しいかもしれない。日本代表での出場試合数が少なくイングランドでの就労ビザ発行基準を満たさない状況で、他クラブにレンタルに出される可能性が高い。それも納得した上での契約だと思われるが、仮に特例でビザが下りてチームでのプレーが可能になったとしてもFWには昨季チーム得点トップ(16点)でユーロでも活躍しているフランス代表のオリビエ・ジルーと南米選手権で活躍し、優勝したチリのアレクシス・サンチェス(13点)がいる。さらにセオ・ウォルコット、ダニー・ウェルベックらが控えている。FWの層は相当分厚い。

 それは名門クラブに移籍した選手の試練と言えるものだ。かつてバイエルンに移籍した宇佐美貴史にはアリエン・ロッベンという左サイドの支配者がいたし、稲本潤一がアーセナルに移籍した時のボランチにはフランス代表のパトリック・ビエラという化物とロベール・ピレスがいた。浅野も世界の代表クラスと戦わなければならないが、プレーはもちろん、他にもプレミアのスタイルや言葉、慣習など学ぶべきものが多い。ポンと入って活躍できるほど甘い世界ではないし、浅野自身もそれを十分に理解しているだろう。

武者修行ならあえて自分のスタイルが合わない国へ!

 もし仮にレンタルに出される場合、どの国のどのチームに出されるかということが重要になってくる。JリーグやU-23日本代表の試合ではカウンター戦術やDFの背後に飛び出すプレーで自分のスピードを活かし、得点できることを証明してきた。ただ今後の成長を考えると、自分のスタイルが合わない国とチームでやった方がいい。

 自分の課題と向き合っていくことでプレーの幅が広がるし、考え方に柔軟性が出てくる。苦労するだろうが、損して得取れということだ。

 移籍のタイミングとしても、良かったのではないかと思う。

 21歳での海外挑戦は、成功すればさらに上のレベルを目指せる。万が一アーセナルで結果が残せなかったとしてもビッグクラブもしくは中堅クラブへと移籍し、活躍することは十分可能だ。もし、難しさを感じたら宇佐美のように日本に戻って結果を出してから再挑戦することもできる。

【次ページ】 五輪前の移籍決断はモチベーションにもなる。

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