幼い頃に錦織が自分を励ますために書いた言葉。

　巡り合わせは徐々に好転しているのかもしれない。2回戦でタフなグラウンドストローカーのベネトーと当たったことも、結果的にプラスに転じるだろう。1回戦は長いラリーがほとんどなく、試合後、錦織は「ストロークをもうちょっと調整できれば」と話していた。苦しんだ2回戦だったが、尻上がりに調子を戻した4セットは、初戦で得られなかった手応えを補うものになったはずだ。

〈いつでも、だれでもラッキーは来る〉

　幼き日の錦織は、こんな言葉を紙に書き出し、自分を励ましたという。全仏以降のタフな時間は過ぎ去り、追い風に変わろうとしているのだろうか。

　それもコンディション次第だろう。日程がずれ込んだため、2回戦と3回戦を2日続けてこなさなくてはならない。

　錦織は淡々とした口調でこう話した。

「今日勝てたことを収穫として、明日からどうなるか、体を見てやっていきたい」