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半年間で31試合に出場した遠藤航。
過酷スケジュールを乗り越えた方法。 

text by

轡田哲朗

轡田哲朗Tetsuro Kutsuwada

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photograph byJ.LEAGUE PHOTOS

posted2016/07/01 07:00

半年間で31試合に出場した遠藤航。過酷スケジュールを乗り越えた方法。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

出場機会を危ぶむ声もあったが、いまや浦和でも完全な中心選手。遠藤航の器はまだ底が見えていない。

4月の遠藤のパフォーマンスは圧倒的だった。

 とはいえ、冒頭の言葉にもあるように遠藤がギリギリのところで戦ってきたのも事実だ。チームがゲーム形式のトレーニングをしている際に、遠藤はラン調整のみで終えたこともある。「チームからの指示で外れることもありましたね。小さいケガもあったので」と、出場を回避するほどではないにせよ負傷を抱えながら戦ってきた時期もあると話した。

 遠藤の持ち味のひとつが、守備的なポジションならどこでもこなすユーティリティー性と、そこから攻撃に出ていく力を併せ持つことだ。浦和では右ストッパー、ボランチも候補に挙がったが、ほとんどの試合で3バックの中央を務めている。特に、地上戦での強さはずば抜けた安定感を見せてきた。

 今季それが最も発揮されていたのは、4月の期間だろう。浦和はこの1カ月間で7試合の公式戦を戦ったが、失点はわずかに3つ。昨季のアジア王者広州恒大とのホームゲームで、遠藤はコロンビア代表FWジャクソン・マルティネスを封殺した上に、カウンターの場面でドリブル突破を仕掛けたブラジル代表MFパウリーニョも完全に抑え込んだ。

 オーストラリア・シドニー遠征から中3日で迎えた川崎フロンターレとのゲームも無失点で完封。前線からのプレスがクローズアップされたが、最終ラインを統率する遠藤のプレーは圧巻だった。

走行距離が多い試合がいいわけではない。

 しかし、5月も半ばを過ぎたあたりからは、チームの停滞と共に遠藤にも失点につながるようなミスが出始めた。5月25日のFCソウルとのアウェーゲームでは、先制点を奪われる場面につながる痛恨のパスミスがあった。そのゲームを境に、リーグ3連敗を含む公式戦5戦未勝利と浦和は低迷期に入り、ファーストステージの優勝も消滅してしまった。

 遠藤は、そうしたチームの状況と自身の状態をこう分析している。

「ポジション的に運動量がそこまで求められない分、やれているのかなと。集中力というところでは気を遣うし、そういう意味でのしんどさ、気張っている感じは毎試合ありますね。集中力を欠いているわけではないんですけど、(連敗しているころは)一つ一つのプレーの繊細さが欠けていた感じはありますね。

 連敗をしている時は、意外と自分の運動量を見ても多いんです。それがなぜかと思えば、攻守の切り替えができていなくて後ろ向きに走って戻る量が多いことや、カバーリングの距離が遠いこと、サイドまで行かないといけないことが多いことだと思います。

 走ることが悪いとは思っていないけど、しっかり守るという面ではどうかなと。バランスが良ければ走らなくてもいい面もありますから。運動量が多くなくていい分、そういうところでしっかりやらないといけないと思っています」

【次ページ】 受け身の状態でスプリントする大きな負担。

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