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「選ばれし者」となったレブロン。
故郷クリーブランドとの約束を果たす。 

text by

長澤壮太郎

長澤壮太郎Sotaro Nagasawa

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photograph byJesse D. Garrabrant/NBAE via Getty Images

posted2016/06/22 17:00

「選ばれし者」となったレブロン。故郷クリーブランドとの約束を果たす。<Number Web> photograph by Jesse D. Garrabrant/NBAE via Getty Images

2人の息子とチームメイトに囲まれ、満面の笑みのレブロン。試合直後には、号泣し、へたり込み、大勢と抱き合い……と大変な喜びようだった。

「この勝利はクリーブランドのためにある」

 NBA2015-16シーズン、ファイナル最終第7戦。試合は最後の1秒までもつれる展開となった。レブロン・ジェームズが執念の気迫で、終盤ウォリアーズの攻撃を止めて悲願の優勝を果たした。様々な逆境や批判をモチベーションに変え、レブロンを中心に戦ったキャバリアーズ。優勝が決まった瞬間、レブロンは床に泣き崩れ、「天の神様は、なぜ僕らにこれほど険しい道を与えるのか? と自問自答してきたが、どんな試練にも理由があるはずと信じ、ポジティブに心底すべてを注ぎ込んだ。この勝利はクリーブランドのためにある」と言った。

 この日、歴史を塗り替える「選ばれし者」がいたとすれば、レブロンしかいなかったと断言できる。もし、彼がこれで「引退する」と言ったとしても、レジェンドであることに変わりはなく、殿堂入りも間違いないだろう。レブロンは約束を果たした。自分の境地だけではなくクリーブランドとNBAの歴史を変えたのだ。

 試合後、母親と抱き合うレブロンの姿があった。そして、トロフィーと共に自分の息子二人と娘を抱え記念写真に収まる――。自分にはなかった父の日の思い出。彼は父親としてそれを体験していた。家族を持った時レブロンは、次の世代に悪い循環を持ち越さないことを心に誓ったという。

 決戦の前、あとひとつのピースで完成を迎えるところまできていたパズル。第7戦の勝利の後、メンバーはロッカールームに集まりトロフィーのパズルを完成させた。秘密の儀式、最後のピースを入れたのは新人監督のティロン・ルー。最後のピースはクリーブランドの形に作られていた。

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レブロン・ジェームズ
クリーブランド・キャバリアーズ

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