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岡崎慎司が掴んだ「俺は動く選手」。
代表で“好きなように”やる理由。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/06/07 07:00

岡崎慎司が掴んだ「俺は動く選手」。代表で“好きなように”やる理由。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

完全にDFを置き去りにしてフリーになった上で、難しい角度のヘディングを決めた。岡崎慎司は、日本サッカー史のFWの中でも異次元の存在になりつつある。

欧州組の自分たちが、代表を変える。

 選手それぞれが、自身の武器をぶつけ合う。その間を縫うように動き、組織の穴を消す。それは岡崎がレスターでやってきたプレーでもある。迷うことなく、感性でプレーするチームメイトたちが“化ける”のを見てきた。そんな経験を持つ岡崎が日本代表に新たな力をもたらすような気がする。

「真司がガンガン、守備でも動いてくれたので、結構自分にとっては大きかった。レスターとは違う感覚でやらせてもらえた」と話すように、日本代表の仲間にはチームメイトを助ける“献身性”が備わっている。

 そういう日本人選手の長所は「個の能力で戦う欧州のチーム内で“違い”を生む。そのことを知る監督が増えれば、もっと日本人選手が欧州でプレーできるに違いない」と以前、岡崎は話していた。同時に「強烈な個を持った選手がいれば、日本代表にあらたな“違い”を与えることができる」とも。

 だからこそ、組織の一員として細かい約束事に縛られるのではなく、持ち味を最大限に発揮することを大切にしているのかもしれない。

ハリル「岡崎にレスターとは違うプレーを」

 そして、ブルガリア戦では「組織的に美しいアクションがあった。日本の長所が出た得点だった」と指揮官も振り返る形で7得点が決まった。ハリルホジッチ監督は決勝戦を前にした公式会見で「プレーも速く、パスも速い、ギャップに移動し、前のスペースを探し、フィニッシュゾーンに何人も顔を出していた」と言葉を重ねている。それを支えたのは岡崎の“動”であったことは確かだ。

 監督は「岡崎にはレスターとは違うプレーを要求している」とも話した。レスターでの岡崎は守備的なポジションだと揶揄したこともある。それでもきっと岡崎は、守備を疎かにすることはないだろう。

【次ページ】 「自分の世界に入るだけじゃ点は獲れない」

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