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錦織圭、全仏の初戦は難敵を一蹴。
軌道と時間を自在に操るクレー戦術。

posted2016/05/24 11:30

 
錦織圭、全仏の初戦は難敵を一蹴。軌道と時間を自在に操るクレー戦術。<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

ジョコビッチ、ナダルとは決勝まで当たらないドローを引き当てた錦織圭。初グランドスラムは確実に視野に入っている。

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秋山英宏

秋山英宏Hidehiro Akiyama

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Hiromasa Mano

 雨天順延で2日がかりになったのは誤算だったが、錦織圭が無難に全仏1回戦を突破した。

 シモーネ・ボレリ(イタリア)の名前を覚えている読者も少なくないだろう。2014年、2015年と2年連続ウィンブルドンで当たり、ともにフルセットで錦織が勝った。

 2勝はともに難産だった。'14年は3回戦で対戦、第5セット途中で日没順延となり、さらにミドルサンデー(ウィンブルドンの慣例で、中間の日曜日は大会の中休みとなる)を挟んで3日がかりの試合となった。間の1日も「常に試合のことが頭に残って」緊張感が抜けなかったという錦織。辛勝に「危ない場面だらけだった」、「家に帰る寸前でした」と苦笑した。

 昨年のウィンブルドンでは、1回戦で対戦した。錦織は前哨戦で左ふくらはぎを痛めており、試合を長引かせたくなかったが、フルセットに持ち込まれてしまう。辛勝したものの故障を悪化させ、2回戦で棄権に追い込まれた。

芝コートでは苦戦する相手だが、クレーならば。

 いわゆる「因縁の相手」だ。因縁とは便利な言葉だが、この一語で片づけるのは少々乱暴かもしれない。試合がもつれた具体的な要因、説明可能な要因があるからだ。

 ボレリの直線的な弾道のフォアハンドと、コート面を水切り石のように滑走するバックハンド・スライス、そして強烈なサーブは、ウィンブルドンの芝でより威力を発揮する。過去2回の対戦で、ランキング下位のボレリは、挑戦者として果敢に力いっぱいラケットを振った。錦織はラリーで後手に回り、焦れば焦るほど相手のペースから抜け出せなかった。

 全仏の赤土では、両者のラリーは様相が変わると思われた。クレーなら、錦織は高く跳ねるトップスピンで相手のバックハンドを攻めることができる。高い打点はボレリのような片手バックハンドの泣き所である。

 また、弾道の高低やボールを捉えるタイミングを調節し、時間を操る錦織の戦術も、クレーでより効果を発揮する。ボレリの好きな力任せの叩き合いを避け、展開勝負に持っていくには、クレーは最も適したコートと言える。

【次ページ】 度重なる順延で、錦織に焦りが。

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