Sports Graphic NumberBACK NUMBER

宮本恒靖が語る、「もし僕がクラブを作るなら」。

posted2016/05/25 18:00

 

text by

細江克弥

細江克弥Katsuya Hosoe

PROFILE

photograph by

Miki Fukano

 日本代表のキャプテンとして4年に一度の大舞台に2度出場した宮本恒靖は、サッカー界の発展において、プロとして活躍した選手が引退し、やがて指導者や経営者、あるいは強化や編成を担当するフロントとしてその経験を還元することの重要性を強く感じている。

 クラブを総合的かつ継続的に発展させるためには、選手だからこそ感じる“現場”の感覚と、経営者視点のビジネス感覚を同時に併せ持たなければならない。だから宮本は、現役時代の自分になかった経営者視点を学ぶために海を渡って“スポーツ修士課程”を修了し、育成年代の指導者として再び“現場”に戻ってきた。

 引退から4年半、力強くセカンドキャリアを歩き始めた彼に、まずは「サッカー界を取り巻く環境の変化」について聞く。

宮本「サッカーもビジネスもわかるのが理想」

「10年前と比べても、大きく変わっていると思います。クラブが意識するべきマーケットは自国だけでなく世界にあって、そこでどのように勝負するかが問われている。もちろん、ピッチ内での勝利を求めなければなりませんが、それと同時に、今の時代はSNSなどを駆使してクラブの魅力を発信し、ファンを獲得するための戦略をグローバルな視点で考えることも必要。世界トップレベルのビッグクラブがそれを貪欲にやっているので、参考にすべき点は多いと思います」

 現役時代からその聡明さで知られる宮本だが、当時はなかなかピッチ外のことに目を向ける余裕がなかった。“チーム”ではなく、それを内包する“クラブ”として考えるようになったのは、引退後のことだ。

「ヨーロッパに渡って修士課程で学ぶうちに、初めて本格的にそういう視点を持つようになりました。各クラブの経営を間近で見させてもらったり、歴史について深く学んだり、経営的な観点からマーケティングを分析したり。それから、法律のこともそう。現役時代とは違う視点でサッカー界全体、あるいはクラブを見ることでとても多くのことを学びました」

 だからこそ、改めて思う。

「サッカーのことも分かる。ビジネスのことも分かる。そういう2つの視点を持った人がクラブの経営的な仕事をすることが、とても理想的だと思うんです」

【次ページ】 アーセン・ベンゲルという成功例。

1 2 3 NEXT
1/3ページ

ページトップ