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Jリーグに大物選手を呼ぶ方法はある!
彼らが年俸減を受け入れる条件とは。 

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並木裕太

並木裕太Yuta Namiki

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posted2016/05/23 10:30

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アジア最大のクラブになった広州恒大にとっても、スコラーリの招聘はステータス向上の大きな転機となった。

ランパードやピルロの「金銭以外の移籍理由」。

 彼らのモチベーションは一体どこにあるのでしょうか。

 それぞれが残した移籍時のコメントを並べてみると、いくつかの共通点が浮かび上がります。

「チェルシーはこれからも僕の心の大きな部分を占めるだろう。でも、これからは新たなチャレンジだ」(ランパード)

「アメリカでの野望は、重要なプロジェクトの一員になることだ。僕にとって素晴らしい挑戦。僕らは何もないところからスタートする」(ピルロ)

 新興のリーグだからこそ、そこに挑戦すべき価値がある――。30代も後半にさしかかり、キャリアの終盤を迎えた彼らは、出場機会を求めると同時にリーグの成長性に魅力を感じ、金銭的な条件とは別の価値観に基づいて新たな挑戦の舞台に身を投じたわけです。

「母国」のテベス、「監督」のイグアイン。

 そしてもう一つ、「リーグのレベル的にはさほど変わらないが、年俸ダウンを受け入れている層」にも注目しました。プレミア、リーガ、ブンデスを「Top」、その他の欧州リーグと南米リーグを「Middle」と便宜的に格付けした場合に、「Top→Middle」「Middle→Middle」という形で移籍し、年俸も下がった選手たち21人が、この層に該当します。

 例えば、マンチェスターCからユベントスを経てボカ・ジュニアーズ(アルゼンチン)に移籍したカルロス・テベスや、アトレティコ・マドリーからセレッソ大阪などを経てペニャロール(ウルグアイ)に移籍したディエゴ・フォルラン。彼らは「最後は母国に戻ってプレーしたかった」ということを、移籍を決断した大きな理由に挙げています。

 また、「監督への信頼」を移籍の理由とする選手も複数いました。レアル・マドリーからポルト(ポルトガル)へ移籍したイケル・カシージャスは「フレン・ロペテギ(当時の監督)からの信頼とサッカーへの理解が大きかった」と語っているほか、ゴンサロ・イグアインも、レアル・マドリーからナポリに移籍した理由として「ラファエル・ベニテス(当時の監督)が僕に直接、一緒に偉大なことを成し遂げようと説いてくれた。彼の言葉に僕は説得されたんだ」とコメントしています。

【次ページ】 Jリーグは大物監督をまず招聘するべき?

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