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“なでしこブーム”後の生き残り策。
長野パルセイロの集客力はなぜ高い? 

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木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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posted2016/05/16 10:30

“なでしこブーム”後の生き残り策。長野パルセイロの集客力はなぜ高い?<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTO

チームを率いる本田美登里監督は現役時代読売ベレーザで活躍し、'07年に女性初のS級コーチライセンスを取得した。

観客を増やすうえで、専用スタジアムの効果は絶大。

 とはいえ、地上波で試合が流れただけでは、6733人の奇跡は起こらなかっただろう。土橋は他に3つの要因を挙げた。

 1つ目は専用スタジアムの存在だ。2015年2月に南長野運動公園総合球技場の改修が終わり、パルセイロはサッカー専用スタジアムで試合を行えるようになった。

「やっぱり陸上トラック付きのスタジアムとは違う魅力がある。どの角度から見てもピッチが近く、応援でひとつになりやすい。僕はかつて山雅にもいたんですが、アルウィン(長野県松本平広域公園総合球技場)でプレーするとお客さんが増える理由がわかりますよ。長野は育成年代でグラウンドが少ないという課題があるんですが、プロでは2つも専用スタジアムがあり、どんどん環境が整っています」

魅力的な試合相手と、前へ前へ攻めるスタイル。

 2つ目は対戦相手の魅力だ。

「長野の人たちにとって、宮間あや選手や川澄奈穂美選手のような有名選手を間近で見られるのは、なかなかできない体験なんです」

 そして3つ目はサッカーのスタイルである。

「レディースのいいところは、前へ前へ攻めること。本田監督は『ボールを持ったらバックパスではなく、まず前を向け』と伝えている。本田監督が掲げるのは、2点取られても3点取り返すサッカー。攻撃的なので、初めて見にきた人でも楽しむことができる。そういう姿勢が胸を打っているのだと思います」

 地上波での中継、専用スタジアム、知名度のある対戦相手、攻撃的なスタイル。この4つの要素が掛け合わさったことで、6733人という数字が生まれたのだ。

【次ページ】 女子サッカーの火を、長野でつなぐ。

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本田美登里
土橋宏由樹
長野パルセイロ

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