詳説日本野球研究BACK NUMBER

続々プロを生む関甲新大学リーグ。
白鴎大・中塚はドラ1位の候補だ! 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/05/15 10:30

続々プロを生む関甲新大学リーグ。白鴎大・中塚はドラ1位の候補だ!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

大谷、藤浪と同じ世代の白鴎大・中塚。実は投手歴が短く、上積みが見込める。

好投はその投手の潜在能力の証である。

 関甲新大学リーグが東都や六大学に肩を並べるには舞台の大小に関係なく全力を出し切ることが必要だが、関甲新大学リーグにもそういうチームがある。今春すでにリーグ優勝を決めている上武大からはリーグを正しい方向に導いていこうとする姿勢のよさを感じる。

 4月16日に見た平成国際大戦では打者走者の全力疾走は5人8回を数えた。チャンスメーカーは1番島田海吏、2番鳥巣誉議、5番市根井隆成、6番我如古剛瑠、8番小豆澤誠、9番山脇竜二で、塁上の走者を還すのは3番長澤壮徒、4番山本兼三という役割分担が決まっていて、長澤は4回にソロホームラン、山本は5回に2ランを放っている。各選手が自らの持ち味を認識し、しっかりやり遂げる。亜細亜大が東都で確立した全力疾走、チームプレーの伝統を、関甲新大学では上武大が作っていくのだろう。

 投手陣は4年生に山下仁、鈴木稜也、上原大介、3年生に石井将希、宮川哲、2年生に寺沢星耶と各学年に好投手が顔を並べ、私が見た試合では2番手で1年生の西村雅暉という本格右腕がマウンドに上がり、クセのないいいフォームから最速148キロのストレートを投げて驚かされた。投手はその時々の出来・不出来があり、一度の好投でその将来が占えるものではないが、一度の好投はそのピッチャーの潜在能力の証でもある。上武大の強さはまだしばらく続いていきそうだ。

白鴎大の中塚はメンタルさえ整えば……。

 最後に紹介したい選手がいる。途中でも少し名前を出した白鴎大の本格派、中塚である。私が見た5月8日の新潟医療福祉大戦ではストレートが最速153キロを計測したが、すでに今年のリーグ戦で157キロを出している。スポーツマスコミが執拗に追いかける創価大・田中正義を凌ぐ速さだが、これほど速くてもチーム内では大出、田村圭裕、柏瀬郁也に次ぐ4番手に甘んじている。フォームに悪いクセがないのにコントロールに安定感がなく、それも立ち上がりにボールが先行するのはメンタル面の弱さに他ならない。

 春のリーグ戦は上武大戦を残すのみになったが、ここで登板する機会があれば屈指の強豪校相手に胸を借りるつもりで腕を振って剛球を連発し、球を置きに行く弱気の虫を封じてほしい。素質のよさはプロのスカウトもすでに気づいているので、秋に化ければ1位指名があってもおかしくない。

BACK 1 2 3
井納翔一
安達了一
三木亮
中塚駿太
白鴎大学

プロ野球の前後の記事

ページトップ