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周囲が「遅い」と感じるハイペース。
NHKマイルはエンブレムの完全勝利。

posted2016/05/09 11:40

 
周囲が「遅い」と感じるハイペース。NHKマイルはエンブレムの完全勝利。<Number Web> photograph by Kyodo News

府中の長い直線に先頭で飛び込み、そのまま押し切ったメジャーエンブレム。伸びるというよりも、落ちない末脚だ。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Kyodo News

 圧巻の強さで、2歳女王が復権した。

 3歳春のマイルチャンピオンを決める第21回NHKマイルカップ(5月8日、東京芝1600m、3歳GI)を制したのは、クリストフ・ルメールが騎乗した1番人気のメジャーエンブレム(牝、父ダイワメジャー、美浦・田村康仁厩舎)だった。

 ルメールに迷いはなかった。大事に乗りすぎて持ち味を出せなかった桜花賞とは対照的に、メジャーエンブレムは本来のロケットスタートを決め、すんなりとハナに立った。

 序盤から自分の競馬に持ち込んだ同馬を、田村調教師は安心して見ていられたという。

「今回は、多少出負けしても主張して行くよう、ルメール騎手と話していました。自分以上に速い馬がいた場合は考えなくてはいけないが、それ以外はハナに行け、と」

 この日の芝コースは、内側が傷んで剥げているように見えた。しかし、見た目とは逆に、内が外よりずっと伸びるコンディションだった。

コースコンディションも味方につけて。

 2枠4番から出たメジャーエンブレムは、じわっと少しだけ内に寄り、走りやすい内埒沿いを進んだ。ゲートから10完歩ほどで他馬より頭ひとつ、100mほどで体半分出て、1ハロンほどのところでは、もう1馬身ほど抜け出し、隊列を引っ張っていた。

 外の枠から出た馬たちは、普通の馬場状態なら、しばらくゲートを出たなりで走ってから徐々に内に切れ込んでいただろうが、この日は、どの馬も早めに馬場のいい内に進路をとろうとした。ほとんどの馬が、「何番手につけるか」より、「どれだけ内を走れるか」を優先したこともあり、誰も無理にメジャーに競りかけようとはしなかった。

 この時点で、勝負は決したと言っていい。

 メジャーは先頭をキープしたまま直線に入り、後続の追撃をしのぎ切った。

 勝ちタイムは1分32秒8。昨年の阪神ジュベナイルフィリーズにつづくGI2勝目を挙げ、圧倒的1番人気に支持されながら4着に敗れた桜花賞の雪辱を果たした。やはり、自分の型に持ち込めば、強い。

 3/4馬身差の2着には、後方から追い込んできた2番人気のロードクエスト、さらに首差遅れた3着には、中団につけていた12番人気のレインボーラインが突っ込んできた。

【次ページ】 「流れが遅い」と錯覚させるハイペースの謎。

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