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西武を支える一軍最年長投手。
31歳・牧田和久の活躍は変幻自在。

posted2016/05/04 08:00

 
西武を支える一軍最年長投手。31歳・牧田和久の活躍は変幻自在。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

現在の球界では数少ないアンダースロー投手。無走者時の投球間隔は8.2秒と両リーグ最短で、NPBから「スピードアップ賞」を贈られている。

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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NIKKAN SPORTS

 ペナントレースが開幕し1カ月が過ぎた。ここまで12勝15敗2引き分け(5月2日現在)と、3つの負け越しでパ・リーグ4位につけている埼玉西武ライオンズ。主砲の中村剛也が死球による打撲で戦線を離脱。4月29日にはスタメンに復帰したものの、1番の秋山翔吾以外、なかなか打線を固定できずにいる。

 投手陣では大黒柱の岸孝之を内転筋痛で欠き、当初、菊池雄星、野上亮磨、岸、十亀剣、バンヘッケンの5名が先発マウンドを託されたが、岸と野上がともに2勝。菊池と十亀は1勝ずつ。バンヘッケンに至ってはゲーム序盤のノックアウトが続き、未勝利のまま2軍に降格した。岸の復帰までは約2カ月かかる見込みで、今後も厳しい戦いが予想されている。

 そんな中、開幕から安定した働きを見せているのがプロ入り6年目、一軍投手陣で最年長となる31歳の牧田和久である。

先発陣が苦しむ中、マルチな活躍でチームを支える。

 牧田は今シーズン、開幕から中継ぎ要員としてベンチ入りし、12試合に登板している(5月2日現在)。先発が早々に崩れた試合では、ロングリリーフで6イニングスを投げ、4月30日のソフトバンク戦でも中継ぎで4イニングスを0封。先発投手として起用されてきたバンヘッケンを上回る27イニングス3分の1を投げており、防御率は1.65。すでにチーム最多の3勝を挙げている。

 前記のように、期待されていた先発陣が結果を出せずに苦しむ中、チームが4位という位置にいられるのは牧田のマルチな働きに助けられているところが大きい。

「ビハインドの場面でも、ブルペンでは準備をしています。準備に入るイニングはその試合によってまちまちで、先発投手の調子や、試合展開を見ながら徐々に試合に集中していきます。いや、体力的にはキツいですよ。もう一つ、体が欲しいくらいです、ハハハ。でも今年は終盤、打線が逆転してくれる試合も多くて、だから自分たち投手陣も踏ん張らなければという気持ちが強いですね」

 粘り強く投げれば打線が逆転してくれる。そんな信頼関係が原動力だと語る。

【次ページ】 「いつ投げるか分からない」大変な役割。

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