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復帰のナバーロ、数字以上の存在感。
ロッテに足りなかった「あと一本」を。 

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2016/05/06 10:30

復帰のナバーロ、数字以上の存在感。ロッテに足りなかった「あと一本」を。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

復帰戦となった4月23日のロッテvs.オリックス戦、8回裏に2点タイムリーで早速の貢献。以降、毎試合連続で安打を重ねた。

活躍を予感させるスイング動作。

 さらに今後の彼の活躍を予感させるのが彼のスイング動作だ。

 一軍と二軍の2人の打撃コーチにそれぞれ、ナバーロの印象を訊いてみた。

「後ろでしっかり溜めといて、ボールを最後まで長く見られるから(相手投手に)球数を多く投げさせることができるしミートポイントが広い。ファールなんかを見ていても田村が言うように紙一重のようなものが多い」(立花打撃コーチ)

「飛ばすパワーはやっぱりありますね。バットのヘッドがなかなか見えてこないので、ちょっと先っぽだったり、ちょっと詰まったりしても長打になる幅が長いように感じます」(大村巌二軍打撃コーチ)

 彼のスイング動作はいわゆるバックウエイト。

 体重移動のパワーをほぼ使わずに軸足に体重を残したままバットスイングをしている。このスイング動作の利点は二人のコーチが証言するように長くボールが見られることである。さらにボールに力が伝わるミートポイントが広く、バックスピンが自然とかかりやすく長打も期待できる。

バックウエイトでも打てるパワー。

 日本人選手の多くは、中南米の選手に比べるとパワーの部分で劣るため、軸足股関節から反対側の股関節に体重移動をしてそれを補うのが一般的だが、体重移動をする分、目線がぶれやすく、緩急を使われるとスウェーしやすいという弱点もある。多くの選手がタイミングを重視するのもそのためだが、ナバーロの場合は強靭な下半身から来るパワーが十分に備わっているため、バックウエイトでも150キロを超える直球に対して力負けすることはない。

 それを証明したのが5月1日の北海道日本ハム戦で大谷翔平の内角高めの154キロの直球を打ち返しセンターの前に運んでいる。

 大村二軍打撃コーチはこう説明する。

「基本的に向こう(海外)の選手は160キロ近くの球をどう打つかを考えているから、それ(バックウエイト)で打つのはむしろ普通で、そうしないとそのボールに間に合わないことを知っている。向こうの選手からしたらなんで日本人の選手がそうしているのか不思議がっていると思いますよ」

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