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ディーマジェスティが皐月賞制す。
「飛ぶ」ではなく「沈む」ディープ産駒。

posted2016/04/18 11:30

 
ディーマジェスティが皐月賞制す。「飛ぶ」ではなく「沈む」ディープ産駒。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

マカヒキよりも少しだけ早かった仕掛けが、直線の短い中山で功を奏したディーマジェスティ。次の決戦は東京だ。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Yuji Takahashi

 ハイレベルな3強の争いと見られていた第76回皐月賞(4月17日、中山芝2000m、3歳GI)を制したのは、蛯名正義が乗る8番人気のディーマジェスティ(牡、父ディープインパクト、美浦・二ノ宮敬宇厩舎)だった。

 勝ちタイムは1分57秒9。立っているのも大変なほどの強風が吹きつけるなか、コースレコードにコンマ1秒まで迫る皐月賞レコードを叩き出した。1馬身1/4差の2着は3番人気のマカヒキ、3着は1番人気サトノダイヤモンド。皐月賞初優勝を果たしたディープインパクト産駒が、3着までを独占した。なお、4位で入線した2番人気のリオンディーズは5着に降着となった。

 今年の皐月賞は、いくつかの理由で非常にタフなレースになった。

 ひとつは前述した強風。この日の午後、千葉市の最大瞬間風速は30mを超えており、船橋市の中山競馬場もそれに近いと思われる南風が吹いていた。直線では追い風だが、向正面では向かい風。「ペースが速いのか遅いのかわからなくなり、乗りづらかった」と蛯名が言うほどだった。

先行策に出たデムーロは直線で斜行し……。

 もうひとつは、良発表だったが、週中と当日の雨の影響で渋り気味だった馬場。

 そして、1000m通過が58秒4というハイペース。2番手につけたミルコ・デムーロのリオンディーズがつくり出した流れだった。その激流を引っ張った同馬は、向正面の1000m通過地点で早くも先頭に立ち、押し切ろうとした。これだけペースが速くなると後方で脚を溜めた馬に有利になるのだが、デムーロは、「きょうのそれまでのレースでは前につけた馬が残り、後ろからでは届かないと思った」と、あえてこの戦術を選んだ。

 先行馬が総崩れになっても不思議ではない流れのなか、勝ち馬から3馬身差の4位で入線したのだから、さすが2歳王者だ。

 しかし直線で斜行し、武豊のエアスピネルと、その外にいたクリストフ・ルメールのサトノダイヤモンドの走行を妨害。それがなければ被害馬のエアスピネルが先着したと判断され、5着に降着となった。

【次ページ】 不利を受けた馬を尻目に、蛯名は「展開が向いた」。

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