錦織圭、頂への挑戦BACK NUMBER

なぜジョコビッチはいつもいるのか。
錦織圭ら上位陣の「出場義務」制度。 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byManuela Davies/Mannys

posted2016/04/08 17:00

なぜジョコビッチはいつもいるのか。錦織圭ら上位陣の「出場義務」制度。<Number Web> photograph by Manuela Davies/Mannys

ジョコビッチとの通算成績は2勝7敗。2014年全米OP準決勝での勝利からは6連敗となった。

ランク上位の選手には、多数の大会出場義務がある。

 多くのテニスファンには不要な説明だと思われるが、厳密に言うと前シーズン最終ランキングのトップ30に対して、全部で9大会あるマスターズシリーズのうちモンテカルロ大会を除く8つに出場が義務づけられている。

 例外のモンテカルロすら、そこに家を持つジョコビッチは2006年以降2011年を除いて毎年出場している。

 賞金も他のマスターズシリーズに比べて劣るわけではなく、むしろ〈セレブの象徴〉といえる町での大会は人気があり、ジョコビッチのみならず他のトップ選手も大勢出場する。4月11日に開幕する今年の大会のエントリーを見ると、トップ10のうち出場していないのは錦織だけだ。層の厚さは、マスターズ大会と何も変わらない。

錦織が大会出場義務を緩和されるには時間がかかる。

 ただ、将来的には多少〈望み〉が出てくるかもしれない。

 前述したマスターズ大会への出場義務のルールは、キャリアに応じてその〈縛り〉が徐々にやわらげられていくからだ。その条件というのが、ツアー600試合以上の実戦、キャリア12年以上、31歳以上という3つで、これを1つクリアするごとに8大会から必須数が1つ減らされるという具合だ。

 この「キャリア12年以上」の「キャリア」は1シーズンでATPポイントを獲得した大会が12大会以上あった年を1年目と数える。ちなみに錦織の場合はまだ400試合に達しておらず、キャリアは2008年からということになるから今が9年目。年齢が達していないのは言うまでもなく、なかなか厳しい条件であることがわかるだろう。

 3つともクリアしているフェデラーはそれを有効活用し、30代のベテランが今後も長くプレーを続けていくために無理のないスケジュールを組んでいる。

 昨年はマイアミとモントリオールに出場しなかった。トップの誰かが欠けるという確率は年々高まっていくだろう。

【次ページ】 ジョコビッチの出場大会も減るはずだが……。

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