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川島永嗣が戻ってきた「特別な場所」。
9カ月ぶりの代表で見せた初々しさ。

posted2016/04/11 10:40

 
川島永嗣が戻ってきた「特別な場所」。9カ月ぶりの代表で見せた初々しさ。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

日本代表の輪の中に戻ってきた川島永嗣。再び長い正守護神争いの日々が始まる。

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph by

Shigeki Yamamoto

 どことなく初々しく見えた。

 5年間にわたって日本代表正GKを務めてきた川島永嗣が、9カ月ぶりに代表の場に戻ってきた。71キャップ、チーム最年長の33歳に対してそう感じたのは、何も昨年11月に一新されたユニホームのせいではない。

 代表の誇りと自覚。それをあらためて胸に刻もうとする彼の真っ直ぐな姿勢に、伝わってくるものがあったからだと思う。

 右足の状態が100%ではなく、アフガニスタン戦はベンチ外。シリア戦はベンチ入りしたものの、序列で言えば川島不在時にゴールを守ってきた西川周作の後ろに回ることとなった。とはいえ、ここに戻ってくることに何よりの意味があった。

 代表の空白期間をつくってしまったのは、「無所属」が続いたためである。

 昨年6月にベルギーのスタンダール・リエージュを退団して以降、移籍先がなかなか決まらなかった。セリエBノバーラでの練習参加から始まり、フランス、ベルギー、オランダと転々としたという。岡崎慎司がプレーするレスターでも、練習に加わっている。

 朗報が日本に届いてこないなか、ようやく12月末にスコットランドのダンディー・ユナイテッドと契約がまとまった。決して短くはない半年間のブランク。長引いた“就職活動”によって代表に参加できなかったのは、心を苦しめたに違いなかった。

ブラジルの経験を、次に生かす強い意志。

「代表は特別な場所」

 彼はずっとそう言い続けてきた。グループリーグで最下位に終わったブラジルW杯後にインタビューをした際、4年後のロシアW杯を目指す意義を強調していたのが実に印象的だった。

「特別だっていう思いは、試合に出てようが出まいが関係ないです。大切なのは、ブラジルの経験を日本サッカーの経験として、どうやって4年後、8年後、もっと先に伝えて残していけるのか。同時にこの大会を経験した選手が、4年後を目指さなきゃいけないと個人的には思うんです。

 ブラジルで感じた厳しさ、未熟さを、取り返すような時間にしていかなきゃいけない。ブラジルW杯が終わったからといって自分自身、海外での挑戦が終わるわけでもない。日本人のGKとしてもっともっと、成功したいという気持ちも変わらない」

【次ページ】 「こういう経験をしてよかった、という話はしたくない」

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